昨日、宴あり。ごくごくプライベートなので気を使わなくていいのがありがたい。公式の宴は、どうしてもお仕着せ料理が並ぶ。これがワシャにはどうにも受け入れられぬ。食いたくないものを肴に酒を飲むのは嫌なのである。わがままと言えばわがままなんでしょうが、アフターファイブの貴重な時間は自分の思い通りにはなかなかならないけれど、食うものくらいは好きにしたい。
のどぐろのあぶり焼きがあった。ちょいと値ははったが、そこはそれ江戸っ子は金を惜しんではいけねぇ。「大将、のどぐろやっつくんな」と江戸弁でたのむ(なんのこっちゃ)。
大将はオーダーが入ったのが嬉しかったようで、のどぐろ1匹をカウンター越しに持ち上げてみせ、「値がいいからさ、市場で買う時に迷ったんですよね」と笑って言った。
それから岩ガキがある。これもいい値がついている。でも、今、岩ガキ食わずしていつ食うのか、ということでこれも注文しておく。
暑い日だったので、ビールがまず美味い。1杯をクーッと飲んでおいて、あとは熱燗に切り替える。のどぐろに岩ガキはビールというわけにはいかないでしょ。
まずはのどぐろのあぶり焼き、焦げ目のついた身に山葵をのせて、天然塩をちょこっと付けて、それでいただく。う〜ん、適度に脂がのっていて、ほんのりとした甘味が塩に引き立てられる。うめー!
牡蠣は美味い。二十種類くらいは食べたかなぁ。冬の牡蠣も美味しいけれど、夏の岩ガキもひとしおである。昨日のはかなり大ぶりなもので、4つに切って出てきたが、その一切れが普通の牡蠣くらいの大きさはあった。これをその店の秘伝のタレに付けて食べる……これも磯の香が強いのだが生臭くない。滋味の中にコクがあり、たまりまへんで。
ホヤもシイタケも大根と豆腐のサラダもいただきました。好きなものを選べるというのが、いかにも自由でいいじゃあ〜りませんか。
還暦祝いに「魔王」をいただいた。鹿児島の芋焼酎の中でも最高峰と言っていい酒だ。ワシャは上でも書いたようにビールで始めて、次に熱燗をたのむ。喉を潤すにはビールだし、魚介系の肴には熱燗がいい。しかし自宅だとビールと掌中の組み合わせが多い。「魔王」なんてのはなかなか飲めないから、もっぱら安い「白波」あたりで芋の香りを楽しんでいる。
帰宅してから録画しておいた大相撲を見る。「白波」のお湯割りをチビチビとやりながらね。「魔王」にはまだ手は出しません。もったいないもの。御嶽海が勝って、遠藤が敗けて、栃ノ心が連勝を守り、逸ノ城は2連敗……そして結びの一番で若い阿炎(あび)が白鵬の胸を借りる。初顔である。5連勝の横綱と1勝4敗の平幕である。99%白鵬の勝ちだとほとんどの相撲ファンは踏んでいる。
ところがどっこい、阿炎は白鵬を押し出しで破ってしまう。座布団が飛ぶ飛ぶ。両国国技館は割れんばかりの大喝采だ。ワシャも自宅桟敷で「マオー!」と叫んでいた。
インタビュールームでアナウンサーからコメントを求められると阿炎はこう言った。
「昨日、誕生日だったお母さんに報告したいんで、もう帰っていいんですか?」
アナウンサー、ずっこけていた。おもしろい力士がまた増えた。