抒情の歌

 今朝の朝日新聞社会面の写真を見て、「あ、新しい漫才師がデビューしたのか」と思った。
 壇上に3人の男が写っている。一人の男は右端で椅子に座って、静かに目を閉じている。画面左半分には、背の高い男と背の低い男が、マイクをはさんで破顔談笑……。そんな写真だった。
 座っているのは民主党小沢一郎氏、立って漫才をしているのが河村名古屋市長と大村愛知県知事である。ワシャはいつもこの二人をくさしてばかりいるが、今日は、本当にそう思ってしまった。ぜひ、東海地方の方は今日の朝日新聞をくつろげて、写真を見てくださいね。笑えますよ。

 そんな話はどうでもいい。
 今日の話柄は「日本の抒情歌」である。友だちからCDをいただいた。白鳥英美子さんのCD『うた景色―日本の抒情歌集―』である。これが良かった。とても良かった。
 ワシャは、白鳥英美子さんの透きとおった声が好きだ。1972年の札幌 オリンピック のテーマ曲である『虹と雪のバラード』
http://www.youtube.com/watch?v=rtbdr7DY9-0
は最高だったなぁ。白鳥さんの声と、札幌の凛とした冷気のようなものがピッタリだった。その時からトワ・エ・モアのファンになって、その後も何度かコンサートに足を運んだものだ。
 そして、ワシャは童謡・唱歌が好きだ。なにしろ詩がいい。北原白秋島崎藤村サトウハチロー西条八十土井晩翠……すごいラインナップではないか。

 春、高楼の、花の宴……
 身を立て、名をあげ、やよ励めよ……
 春は名のみの、風の寒さや……
 げに、一刻も、千金の……
 里わの火影も、森の色も……
 如何にいます父母、恙なきや友がき……

 春である。高殿から見おろせば、桜が満開であった。その花の下で宴が行われている。
 やはり春である。長く親しんだ学び舎を去っていく日に、友と「いずれ身を立て名をあげよう」と誓ったものである。
 立春とは名ばかりで、この風の冷たさはいかばかりであろうか。
 隅田川をくだれば、桜の帯が流れゆく。じつに、いっときが千金のようではないか。
 おぼろ月夜に、人里の火の光も、森の色合いも、絵のように霞んでいることよ。
 どのようにお過ごしでしょうか、ご両親様。友よ、おかわりはありませぬか。

 今、白鳥さんの涼やかな、透きとおるような、天使の声を聴きながら、書いている。これは癒されます。優しくなれますねぇ。