矢沢永吉

 ずいぶん昔の話だ。まだ永ちゃんがCAROLの頃、コンサートが地元の市民会館で開催されたことがあった。1970年代半ばの話で、突っ張ったニーチャン、ネーチャンはみんな革ジャンにリーゼントを決めて、好きなアーティストは「CALOL!」と答えたものである。
 そんな格好のやつらが市民会館を包囲した。後にも先にもあんな風景は見たことがない。小競り合いはそこそこあったけれど、派手なケンカは見なかった。そりゃそうさ。永ちゃん来るのである。失礼があってはいけない。いつもはだらしないツッパリどもが整然と行列に並んでいる。憧れの永ちゃん、CAROLに会えるということで、求道者のような面持ちで、市民会館のゲートを潜ったものだった。

 夕べ、NHKで東京スカイタワーから永ちゃんの生ライブ中継があった。もちろん永ちゃんファンのワシャは、革ジャンにリーゼントできめて、テレビの前に座った。ウソウソ。
 ううむ、永ちゃんは年をとらないねぇ。もともと老け顔だったから、相変わらず昔のままのように見える。
 歌もいい。「東京」という曲だ。
http://www.youtube.com/watch?v=430exHZLvz4
スカイツリーの展望台から夜景を映しながらのバラードだ。
「夕やみにじむ風の街 わずかな夢の名残だと 渇いた心で生き急ぐ……」
 歌詞もいいなぁ。
 やっぱ、永ちゃんは、オレたちのヒーローだったんだぜぃ、イエイ。『矢沢永吉激論集 成りあがり』(角川文庫)がどこぞにあったと思ったのだが、書庫から探し出せなかったぜ、ベイベー。

 そういえば昭和53年の、伝説の後楽園球場コンサート。あまりに音響が大きすぎて周辺2kmの住民から苦情が来たことがあった。でもね、会場内は「そんなもの関係あるか」と熱狂のるつぼだった。
 青春真っ盛り、いい時代だったぜ、AHA?