とくに「朝日新聞」の怖さ

 コラムニストの勝谷誠彦さんに教えてもらった。この事実は、現在の偏向報道如実に物語っているのであえて取り上げたい。
 朝日新聞夕刊(5月1日)の『窓』である。題は「背信行為はどちら?」、書き手は朝日新聞の幹部である渡辺雅昭論説委員。興味深いコラムなので全文を書き写す。

◇◇◇
 次のどちらが、公務員に対する信頼をそこなう行いだろうか。
 ①役所のトップが勤務時間中に職員を集め、間近に迫った選挙について説明し投票を呼びかける。ただし推す候補の名前は口にしない。
 ②ヒラの公務員が休みの日に、公務員とわからない格好で、職場や自宅から離れたところに行き、ひとりで政党の機関誌を配る。
 明らかに①だ、と私は思う。名前を言う言わないの問題ではない。
 ところが、①の公務員、そう、沖縄防衛局長は事実上おとがめなし。かたや、②の公務員は警察に逮捕され、有罪判決を受ける。
 それが現実だ。なぜ、こんな逆立ちした話がまかりとおるのか。
 選挙ポスター貼りを手伝った郵便局員が起訴された事件で、最高裁は公務員の政治的中立の大切さを力説して、有罪を言い渡している。
 38年前、まだ冷戦時代の判決だ。それを後生大事に守りつづけるおかしさを、防衛局長が教えてくれた。というと皮肉が過ぎるか。
 この判例は、人権を縛り過ぎるとして憲法学界からも厳しく批判されている。見直しを急ぐべきだ。
 上に優しく、下に厳しい。権力に都合がよければ大目に見るが、逆は力で抑えつける――。公務の信頼にみずから泥を塗るそんな行為は、やめにしたほうがいい。
◇◇◇

 以上が全文である。
 ううむ、これが大朝日の論説委員の文章か……。この文章を書くだけで、本社に個室をもらって2000万円の年収とは、笑いが止まりませんな。
 さて、文章の中身を見ていこう。
 前段をご覧いただきたい。①か②かと問いかけて、渡辺論説委員、①だと断言している。え、本当にそうなの?勝谷さんは「どう考えても後者の方がダメでしょう」と言っている。もちろん、ワシャが考えても②がOUTだ。常識のある皆さんが考えても、間違いなくそういう結論になると思う。しかし、この論説委員は①が背信行為だと言う。
 こんな偏った考え方の人物が世論を誘導しているのかと思うとぞっとする。この常識はずれな価値観は、呆れてものが言えないので、ひとまず先に進む。後段の文章についてである。

《ところが、①の公務員、そう、沖縄防衛局長は事実上おとがめなし。かたや、②の公務員は警察に逮捕され、有罪判決を受ける。それが現実だ。なぜ、こんな逆立ちした話がまかりとおるのか。》

 渡辺さん、前段が破綻しているので、後段も破綻しっぱなしだ。そもそも、②の公務員は、地方公務員法第36条(政治的行為の制限)に抵触している。「投票に行きなさい」と言って選挙啓発をしただけの防衛局長とは根本的にやっていることが違う。こんな話は、「逆立ちした話」でもなんでもない。

《選挙ポスター貼りを手伝った郵便局員が起訴された事件で、最高裁は公務員の政治的中立の大切さを力説して、有罪を言い渡している。
 38年前、まだ冷戦時代の判決だ。それを後生大事に守りつづけるおかしさを、防衛局長が教えてくれた。というと皮肉が過ぎるか。》

「後生大事に守りつづけるおかしさ」と言うが、38年前から法律が変わっていない。法律に遵じてものごとを判断するのは当たり前ではないか。それに「冷戦時代」の終結で左翼自体に破綻がきているというのに、相変わらず、「権力者VS虐げられる人民」というステロタイプでしか物事が見れらないことがおかしい。
「後生大事に守りつづけるおかしさ」というフレーズが、実は、己の偏執を斬り捨てているとしたら、自虐ギャグとしてはかなり高度な技だ(爆笑)。

《この判例は、人権を縛り過ぎるとして憲法学界からも厳しく批判されている。見直しを急ぐべきだ。》

 どうも嘘くさいフレーズだ。お仲間の人権屋どもが騒いでいるに過ぎないのではないか。

《上に優しく、下に厳しい。権力に都合がよければ大目に見るが、逆は力で抑えつける――。公務の信頼にみずから泥を塗るそんな行為は、やめにしたほうがいい。》

 だから、冷戦時代の遺物「権力者VS虐げられる人民」というワンパターン思考は止めなさいって。もっと現実は複雑なのだから。上だろうと下だろうと、罪をおかせば罰せられる、そんなものに上下はない。法律がおかしいと思うなら、まず、改正をすることだ。

 さて、渡辺論説委員、この人、かなり破綻した方のようで、あちこちに問題提起をされている。ちょっと探しただけでもこんなのが出てきましたぞ。
http://inotoru.dtiblog.com/blog-entry-178.html
 このブログも渡辺さんのコラムについて批判をしている。内容を読んでいただければ解るが、渡辺コラムが程度の悪いことは明白である。
 こんなのもあった。少しスクロールしていただくと、破綻した文章が読んでいただけます。
http://60643220.at.webry.info/201201/article_6.html
 これほど偏向した考え方の持ち主が、公器である(笑)誌面に自分の妄執を書き連ねていていいものなのだろうか。こんなヘンテコな文章でも、「新聞に書いてあることだから」と信じてしまうバカもいないとも限らない。
 常識ある人たちは、こういった偏向妄執新聞人に騙されないためにも、眉に唾(リテラシー)をつけて対抗しなければならない。
「簡単に新聞、テレビ、政府発表を信じない」
 これは肝に銘じておきたい。