無防備なもの

 グリーンピースの活動家が、パラグライダーを使ってフランスの原子力発電所に侵入した。
http://dailynews.yahoo.co.jp/photograph/pickup/?1335965619
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2012050200864&rel=y&g=soc
 そういうことなのだ。たかが環境団体でも原発の心臓部にやすやすと侵入できる。いわんやテロリストにおいてをや。
 4月30日の日記に以下のように書いた。
《日本はこの狭い国土に50基もの原子力発電所を抱えている。そのひとつひとつに、福島第1原発と同様に、核燃料が詰まっている。別に核弾頭を日本に撃ちこまなくても、通常ミサイルで若狭湾沿岸の原発銀座を攻撃し、電気系統を破壊すれば、近畿から東海にかけて日本の中枢が壊滅するわさ。もっと極端なことを言えば、ミサイルなども要らない。安上がりに済ませようと思えば、工作船に30人ほどの兵士を乗せ、日本海沿岸に漕ぎ寄せ、直接、原発を制圧する。もしくは破壊すれば、同様の効果が見込める。》
 まさに、このことをグリーンピースが証明してくれた。
 少なくとも、フランスの原発警備体制は日本のそれとは雲泥の差がある。サブマシンガン武装した兵士が警戒にあたっている。おそらく敷地内で不穏な行動をとれば射殺されるに違いない。
 2011年12月5日にフランスはやはりグリーンピースにパリの南東約95キロにあるノージャンシュルセーヌの原発に侵入を許し、警備体制を強化したばかりなのだ。にも関わらず、今回、フランス東部にあるビュジェ原発をまた抜かれてしまった。マシンガンで重装備をしている兵士が守っていてこの有様である。警備会社の社員が丸腰で立っているだけの日本の原発はどうなのだろうか。実は、近所の人が原発の敷地内で無断で立ち入ってキノコ狩りをしているほどのほほんとしている。
 もし日本に悪意をもつ国や組織が現われれば、あっという間に、日本全土が人の住めない土地になってしまう。そのことに危機感を抱かない政府というのは明らかにおかしい。性善説に立脚していては国際社会の中ではやっていけないということがなぜ判らないのだろう。

 もう一つ例を挙げる。
 2001年に大阪の池田小学校で起きた無差別殺傷事件である。事件が凄惨すぎたために、この事件の波紋が異常なかたちで全国に広がった。この事件以降「地域に開かれた学校」は、安全対策重視の「閉ざされた学校」に180度の方針転換が進められ、地域のコミュニティに重要な役割を果たしてきた学校は、外部との一切の接触を絶つ子供の刑務所になりはてた。
 極端なのだ。全国の小中学校を閉ざす前に、宅間のような人間凶器を排除するほうがコスト面から考えても、はるかに安価だろう。それは人権という壁に阻まれてやらない。しかし、税金はじゃぶじゃぶ使って学校を要塞化していく。何かおかしくないか。
 その上に、要塞化しているといっても、鍵のかかった門扉の高さは1.5mほどでしかない。そんなもの宅間なら楽々と乗り越えて侵入してしまう。ゲートやフェンスをアリバイ的に造ればいいというものではない。逆にそのゲートやフェンスを造ることで油断が生じているようにも思える。
 あわせて指摘しておきたい。最近は子供たちの登下校時に見守り活動を行うスクールガードという名のボランティアが各学校に配置されることが多くなっている。交通安全ということなら、一利ある。しかし、防犯ということならどうなのだろう。もし、このボランティアの中に宅間がまぎれこんでいたらどうするの?鬼畜はどこに潜んでいるかわからない。どの事件をみても、事件が起こって初めて「あいつが鬼畜だったのか」と知ることばかりでしょう。
 子供を無差別に殺害するために鬼畜が学校に侵入する確率と、鬼畜がスクールガードにまぎれこむ確率とどっちが高いのだろう。

 長々と書いてきたが(いつも長々と書いているが)要するに原発も学校も、ディフェンスの方法が的外れだと言いたい。