劇場型首長の迷走

 愛知県の大村知事が橋下大阪市長石原都知事との連携を模索している。
http://news24.jp/nnn/news8626540.html
 ところが、名古屋市の河村市長は「減税」しか頭にない。「なんで、減税に反対の石原さんと連携せなあかんの?」と、こうなる。
 いろいろなところで河村さんの話を聴くが、「減税」しか語らず、市の全体構想だとか、今後の地方行政のあり方など絶対に口にしない。とにかく「減税」なのである。
「減税をせんかったらなんにも始まらんがね」
 減税より先にやることは、山ほどある。それがこの人には見えていない。

 その点、みんなの党の渡辺代表はモノがいい。
「維新の会の動きに触発をされ、石原新党構想というものも出てきている。我々は誰がやるか、誰と組むかではなく、何をやるかを徹底して追求していく」
 この人には先が見えている。国の将来を決めるためには、誰と組んでもいいのだ。その柔軟性が物事を動かしていく。
 河村市長は頑な過ぎて、すべてを停滞させてしまう。あれほど凸凹コンビで共同していた大村知事も、そろそろ河村市長を見限るのではないか。

 立命館大学の村上弘教授が河村市長の手法についてこう言っている。
「典型的な例は、人気取りのために、むやみに利益をばらまくことである」
 また、有馬晋作『劇場型首長の戦略と功罪』(ミネルヴァ書房)にはこうある。
「自分の立ち位置を一般の人々の側とし、既得権にしがみつく既存勢力、たとえば議会や国・役人などを敵と設定し、自分をそれらと戦うヒーローとして、政治・政策課題の解決を進めようとするスタイル」
 これは、何も河村さんだけのことではない。共通したことが、橋下さんにも大村さんにも言えるだろう。しかし、この二人には少なくとも将来ビジョンがあるし、この方法がだめなら、別の手段をという柔軟性を持っている。
 劇場型首長の悪いところばかりを集積しているような河村市長の先は短いと思う。