新年会

 昨日、会社の課長級の新年会があった。課長は総勢60人ほどの宴会で、副社長も臨席するので、参加者は一様にスーツである。ワシャはスーツがあまり好きではない。でも、半ば公式の場でもあるのでスーツ姿で出席をした。
 ワシャが勝手に師匠だと思っているジャーナリストがいる。その人はとてもお洒落だ。だから、セミナーなどでは、一所懸命にファッションチェックをする。ワシャがポケットチーフを愛用するようになったのは、その人と車寅次郎の影響と言っていい。
 もちろん、昨日も差した。ネクタイが赤系統だったので、薄いピンクのポケットチーフを選んだ。
 しかし、それだけだとまだ胸元が淋しい。これも師匠の真似なのだが、左の襟にアクセントとしてラペルピンやピンブローチなどを付ける。昨日はちょっと遊んでやろうと思い、唐人凧
http://www11.ocn.ne.jp/~popyah/fukushima/toujintako.htm
のピンバッチを差した。
 上記は本物の凧である。舌を大きく出して人を小ばかにしたような表情をしている。これをもう少し赤を強くして、上品にデザイン化した小さなバッチである。先日、会津若松に行った時に求めた。話題の提供にもなるし、福島復興支援の意味も込めた。赤いバッチだったので、ネクタイとの相性もいい。
 そして、時としてこのバッチは、相手への「アッカンベー」 にもなる。

 宴は、ある意味で面白かった。一様に真面目である。宴会にまで仕事の話題を持ちこまなくても……とは思うが、悲しき習性といったところか。でもね、60人もの課長が一堂に会するといろいろな観察ができる。これは、人物観察が趣味のワルシャワには堪えられない(笑)。
 まず、欠席者が何人かいた。直前にインフルエンザに罹ったドン臭いのもいるが、大方は酒の飲めない課長である。また、退職直前の課長たちの顔も見えなかった。「なにを今さら」という心境かもしれない。
 出席者は、ざっと大雑把に二つに割れる。50代後半グループと50代前半グループである。年長と若手というくくりがいいだろう。
 年長には高卒の社員が多い。まぁそういった時代だったのだろう。若手は全員が大卒で、ちょうど我社が大卒の採用に積極的になり始め、高卒採用と大卒採用の比率が逆転をしたころと重なる。年長クラスにも大卒はいるのだが、そのあたりはすでに部長級になっており、残念ながら、この宴に出ている年長者からの昇格はないだろう。ワシャが今、確認している部長級昇格者はみんな若手側にいる。
 結局、課長で退職をしていくのだろうが、一番働かなければならないポジションが働く意欲を失った方々でいいのだろうか……と思う。
 40代でバリバリに働ける社員はそれこそ両手に余る。
 後輩の課長を捉まえてくだを巻いている58歳の課長、あれをバリバリの若手に替えたら我社の業績がもっと上がるのになぁ……とも思う。

 副社長が二人いる。一人は生え抜きだが、もう一人は社外からやってきた人である。その人をAさんとしよう。Aさんは読書家で本の話ができるので、その人に酒を注ぎにいった。そうすると、さっそく襟のバッチに気がついた。
「なにそれ?」
「この間、福島に行っていまして……」と、冒頭の理由を並べた。
 そうするとAさん、ニヤニヤ笑いながらこう言った。
「このバッチ、舌を出してるね。ワルシャワさん、けっこう人をくったことをするね」
 そう指摘されて、ワシャは「ダハハハ」と笑ってごまかしたのだった。

 久しぶりに同期の課長が集まったので、いろいろな情報交換や近況が確認しあえて、それはそれで有意義だった。