読書会

 昨日の夜、読書会。
 久しぶりのメンバーが登場し盛り上がる。その彼が脱会を申し出た。
「身内が寝たきりになってしまった。その介護が大変だし、子供たちも手が掛かる。毎回、誘ってもらっても出られるかどうかわからない。不義理ばかりで申し訳ないので止めさせてほしい」
 これに対し読書会の変人のパセリくんがこう言った。
「オレたちくらいの齢になると、いろいろな問題が身の回りに起きてくる。みんな一緒だ。だから不義理でもなんでもない。人生には波がある。また出られる時に出ればいい」
 そう言われたメンバーの目はうるんでいたように見えた。彼は止めずに続行ということになった。それでいいのだ。
 さて、課題図書は、児玉龍彦内部被曝の真実』(幻冬舎新書)である。
 この本の中で、児玉先生は、子供たちや妊婦を守るために、いろいろな提言をしている。
「国が、放射能の測定と除去に今すぐ全力を挙げろ」
「民間のノウハウを集め、最先端の機器を使って全国の山地で食料品検査をしろ」
「低線量の膨大な放射性物質を処理するための法律整備をしろ」
 などなど。
 しかし、政府と官僚は無為無策のまま10カ月を過ごしてしまった。そしてあろうことか、野田首相は利権がらみの官僚に踊らされて原発事故の「終息宣言」を出す始末だ。
 なに終わっていないどころか、なにも始まっていないのに。
 先般、ワシャは福島の山河を目の当たりにしてきた。いつ行っても、何度行ってもいいところだと思う。この美しい山河を、一部とはいえ人が住めなくしてしまった罪は重い。
 こんなニュースがある。
http://www.47news.jp/47topics/e/224789.php
 消えてしまうといけないので、冒頭の部分を写しておく。
東京電力福島第1原発事故で作業員全員が退避せざるを得なくなった場合、放射性物質の断続的な大量放出が約1年続くとする「最悪シナリオ」を記した文書が昨年3月下旬、当時の菅直人首相ら一握りの政権幹部に首相執務室で示された後、「なかったこと」として封印され、昨年末まで公文書として扱われていなかったことが21日分かった。複数の政府関係者が明らかにした。》
 住民が混乱するからと、「スピーディ」の情報を隠し、いかにも官僚の考えそうな同心円での避難勧告でどれほどの無辜のひとびとが放射能を浴びたことか。バカが官邸でわあわあ言って何もしなかった間に、どれほどの故郷が汚染されてしまったことか。
 この償いは日本人として我々も背負っていかなければならないことだと思っている。しかし、全国民にそれを背負わせる前に、この失策を招いた政府関係者、関係官僚、東京電力関係者、原発村の御用学者どもを断罪しなければならない。彼らの罪を不明確にしたまま国民に償いをさせるのは間違っている。
 読書会でも、福島の話になると、どうも感情的になってしまっていけない。早々に切り上げて、呑みにいく。
 遅れてきたメンバーも合流し、楽しい飲み会になったのでした。次回の課題図書は、古賀茂明『官僚を国民のために働かせる法』(光文社新書)に決まった。めでたしめでたし。