防災の日は昨日でしたね

 午前4時30分起床。トマトジュースを飲んで、シャワーを浴びる。ううむ、体がガンガン目覚めていく。風呂場にたまった湿気を排除しようと、東に開いた窓を開けると、サーッと風が入ってきて風呂場から洗面所に抜けていった。今夏、初めての涼風である。気持ちいいというより少し寒いな。そういえば庭の虫の声もいつの間にかすだきになっている。秋は間違いなく一歩一歩近づいてきているようだ。

 昨日は9月1日で、防災の日だった。だから、テレビでは防災の話ばかりだった。
http://www.mxtv.co.jp/mxnews/news/201109018.html
 東京では「3.11」で9万人の帰宅困難者を出したことから、帰宅困難者対策訓練を実施したという。
 群馬大学の片田敏孝教授は、「地震対策で帰宅困難者の対策に時間や予算を使うのがもっともバカらしい」と言ってはばからない。ワシャも数年の間、防災を仕事としてきたが、やはりそう思う。
 3月11日金曜日、東京が震度5強で揺れたのは午後2時50分前後である。震度5強では、倒壊する建物はほぼない。それは、中越地震でも能登半島地震でも明快だ。日中に発生した地震なので、次々に情報が流れ、どこに被害が出ているのかが比較的早い段階で分かった。
 東京都、あるいはその周辺地域に家屋倒壊などの甚大な被害は出ていないことはよほどの阿呆でない限り推測がつく。自宅が倒壊している可能性がなければ、あわてて帰宅する必要はない。なぜ大騒ぎをして停まっている公共交通機関に押し寄せるのだろう。そんなに自宅が恋しいのかなぁ……。
 帰宅困難者の大多数は都心にオフィスがあるわけで、震度5強ならば、エレベーターは停まっても、建物自体びくともしていない。3月だったから暖房が切れたとしても、上着を一枚着込めば一夜を過ごすくらい可能だろう。机の引き出しにカロリーメイトソイジョイを入れておけば、飢えもしのげる。それだけのことで帰宅困難者が駅や道にあふれることなんかなくなる。一晩、オフィスで情報を収集し、翌朝、おもむろに自宅に向かえばいい。暗くなった夜道を不安な気持ちを抱えて歩くより、日の出とともに元気溌剌で自宅に向かった方がいいでしょ。

 ジャーナリストの日垣隆さんもいい指摘をしている。震災直後に被災地外からの「心配電話」についてである。日垣さんの文章を引く。
《震災直後の「外部」からの心配電話は、意味がないどころか、現地では命に直接かかわるのである。心配電話をかけたところで、何かが変わるのだろうか?はっきり申し上げて、これは自己満足と言うものではないだろうか?》
 ワシャもあの日、東北の知人に電話をしてしまった。
「こっちはけっこう揺れたけど、どうってことはなかったよ」
 その声を聴いてホッとしたのは確かだ。しかし、そんな電話が東北地方に殺到すれば、当然のことながら、緊急の電話がつながりにくくなる。
 被災地外から心配電話をかけたところで、何かが変わるわけではない。 とするなら、被災地外の人間は、電話することを避ける、これが被災地支援の第一歩だと肝に銘じよう。