軽々しく「想定外」なんて言うな!

 新潟県中越沖地震で大きな被害を出した柏崎市では、備蓄薬の大半が期限切れになっていた。また、水の備蓄もできていなかったので、災害初動期に給水がままならず、食べるために水が必要な「アルファー化米」がまったく使えなかったという。
 夕べのニュースで、このことを問いただされた新潟県柏崎市の防災担当者がこう答えていた。
地震の規模が大きく想定外でした」
 2年半前に震度5強地震を経験した防災担当者がそんなたわごとを言ってはいけない。日本列島に住んでいるかぎり、どんな場所でも地震の可能性はある。震度7は当然のことながら想定内だ。

 ワシャは先週末から部下を柏崎に送りこんでいる。実はワシャが行きたかったのだが、ワシャは4月に能登半島地震の被災地調査に行っているので、まだ被災現場に入っていない社員に行ってもらった。
 その報告を聞いたのだが、柏崎市は避難所の運営などもボロボロだったらしい。中越沖地震の詳しい報告はまた後日に譲るとして、報道や部下の報告を総合して考えると柏崎市の甘い防災態勢が浮かび上がってくるのだ。

柏崎市は医療品を購入した02年以降、期限の確認を怠っていた。このため今回の地震では、発生時に避難所から受けた要請に対応できなかったという。(朝日新聞
柏崎市は医薬品を更新するため今年度予算に80万円を盛り込んでいたが、購入前に地震が発生した。(朝日新聞
〇A避難所には担当の職員が1名しかいなかった。このため住民からの苦情や要望が殺到して、職員は極度に疲れていた。(部下報告)
〇B避難所の壁にいろいろな情報が張り出されていた。職員にその内容を確認するが「それは私の担当ではないのでわかりません」と言われた。(部下報告)

 震度5の地震を体験するというのはマイナスばかりではない。震度5ではまず人的な被害は出ないし、物的損害もごく限定的なものとなる。しかし揺れの衝撃は大きく、市民の防災意識を高めるには格好の体験となるはずだった。
 それが柏崎ではまったく生かされていない。被害は出るべくして出た。柏崎市民にはご愁傷様と言うしかないだろう。