午前4時
未曽有の大災害である。
福島に知人が住んでいるがとても心配だ。被災された方々に心よりお見舞いを申し上げます。
3月9日午前11時45分に発生したマグニチュード(以下「M」とする)7.2の三陸沖の地震は前震だった。その後、震度3以下の地震が37回ほど続いて、昨日、午後2時46分のM8.8の本震につながる。M8.8の地震というものを、今まで日本で聴いたことがなかったので、はっきり、驚いた。
その時、ワシャは西三河の会社の事務所にいた。昼休み後のちょうど気だるいころだ。前日の夜も送別会があり、気の合う連中と少し酒を過ごしてしまった。だから、本当にめまいがしていると思った。ところが周囲の社員が騒ぎ始めたのである。見上げれば、壁に掛けた額が揺れている。長周期地震だった。
その時、脳裏をよぎったのは「東海地震か」ということだった。ユーサユーサといった揺れ方なので、直下型ではないと思った。 ならばプレート型の地震ということになる。プレート型ならば「東海地震」と閃いたわけだ。結果は違っていた。
震度は3程度と判断できた。揺れはけっこう長く続いたが、これなら西三河に直截的な被害はないだろう。
ふと気がつくと、周囲の社員が不安そうにワシャの様子をうかがっている。ワシャが以前に防災担当だったので、ワシャの次の行動を見ていたんですね。ワシャが机の下に潜り込んだら、真似しようと思っていたらしい。この程度ではそんな行動はとりませんよ。
とりあえずしたことと言えば、気分を変えるために窓を開けたくらいだ。冷たい外気が室内に流れ込んだお蔭で、周囲の社員も少し冷静さを取り戻したようだ。まわりが落ち着いたことを確認して、その後に、状況を把握すべく防災担当部局に走った。
防災部局に顔を出すと、すでに各種の端末には、あちこちから情報が入ってきている。それらを確認すると「東海地震」ではなかった。太平洋プレートと北アメリカプレートとの境あたりが震源らしい。おっと、愛知県西部には震度4が出ている(あとで3に訂正される)。これならば、とりあえず被害は出ない。一安心だ。
カタカタと情報を次々に打ち出してくる端末とは裏腹に、防災担当部局の上役は、それらの情報を並べたままぽーっとテレビのニュースを眺めている。何をやっているのか、第一報が入っているのである。
「その情報をトップに知らせなければだめでしょう」
と、いつも通り優しく進言したのだった。
もちろん上役はあわてて走っていきましたぞ。
(下に続く)