キャリアという変種

 度々ウラシマさんの日記を使わせてもらって申しわけないのだが、どうしても意気投合してしまうのでお許しを。
http://frompdk.blog.fc2.com/blog-entry-26.html
 上記の日記の中に、「名古屋の公立進学校から東大に進んだA君」の話が出てくるが、これなんかも大いに頷ける。
 ワシャは何人かのキャリア官僚を知っている。おもしろい人物もいるが、顕かにおかしいのも混じっている。おもしろい人物は多様だが、おかしいのにはあるパターンがある。そのパターンとは、異常にプライドが高い。そのプライドの根拠は「東大卒」で「キャリア」であるという2点。そして大らかさを装っているが、実は細かい。人生経験が浅いので、いじると時おり馬脚を現す(笑)。同じ目線に立っていますよと言いながら、東大卒以外を、というか自分と自分を引っ張る上司以外を見下している。
 そんなキャリアを眺めていると、こいつも、ウラシマさんの言うとおり、ご幼少のころから、塾への送迎から布団の上げ下ろしまで、勉強以外のことは他人任せで生きてきたんだろうなぁと思ってしまう。
 人間形成が浅いので、話も面白くない。早稲田大学呉智英さんや、東北大学日垣隆さんの話の方が、はるかに面白くためになる。
「オレ様の話が理解できないのは、受講者がバカだからだ」
 心底そう思っているおまえ(キャリア)がバカなんだ。

 本当のことを言う古賀茂明さんを更迭しようとして、自らが更迭されることになった経済産業省の松永和夫事務次官、それでもキャリアというのは転んでもただは起きない。
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20110812k0000m010144000c.html
 定年前早期退職だか何だか知らないが、退職金は自己都合退職よりも2割前後(1000万円超)高くなるんだそうだ。盗人に追い銭だね。
 もちろん松永次官が更迭されるのは、業務上に誤りがあったからに他ならない。だったら、早期退職でもらう上乗せ分くらいは東北の被災地に寄付をして、反省しているところを見せたらいかがか。つまらないプライドをひけらかすよりもよほど尊敬されるはずだ。そのくらいの度量を示せよ、お役人。

 古賀さんの後輩に原英史という人物がいる。『「規則」を変えれば電気も足りる』(小学館101新書)を上梓した元官僚だ。古賀さん同様に行政改革に取り組んで、固陋官僚に疎まれ、霞が関を飛び出した人である。
 原さんの著書にこんなことを教えてもらった。
 2005年に撤廃されたのだが、ずっと小学校の階高は3m以上と決められていた。小学生などまだ身長が低いのだから、階高を少し低くすれば建て替え費用も安くすむのに……と思っていた。
 しかし、この3m階高が、明治15年の文部省示諭(じゆ)という文書により規制されていたとは知らなんだ。今から140年も前、伊藤博文大日本帝国憲法を作るために欧州視察をしている頃に出された通達である。そんなものに21世紀まで縛られ続け、クソ高い学校建設をしてきたんですぞ。
 キャリア官僚は、頭がいいのだからこういった規制こそ調べ尽くして、金のかからない行政を作っていくべきではないのか。はっきり言って頭の使い方が悪過ぎる。そのことに自覚的であることが、日本のトップエリートがバカの沼から脱出する最初にすべきことではないだろうか。