秀才について

 秀才というのにはいろいろな種類があるらしい。
 まず、ワシャの知人で、官僚なのだが、20年も前に霞が関に見切りをつけて、ずっとドサ回りで頑張っている人がいる。
 また、先の愛知県知事選挙に出馬したが、残念ながらパフォーマンス上手の大村さんに敗北をしてしまった重徳和彦氏。
 あるいは、経済産業省を石もて追われた古賀茂明氏……。
 この方々は本当に頭がいいと思う。古賀さんいついては、著書とテレビでしか知らないけれど、その他の2人は直接その謦咳に接している。その限りではあるけれど、極めて理解力があり、先見性も応用力も高いものを持っている。
「ああ、この人たちは本当の頭がいいんだ」
 と納得している。

 片や、霞が関にずっぽり浸かっている官僚を何人か知っている。それは研修だったり、講演会であったりするわけだが、間違いなく言えることは、霞が関でエリートコースに乗っているキャリアたちは、押しなべてバカであるということだ。
 そして、なぜか、みんな雰囲気が似ている。不思議だなあ。こういう時代だから、みんな謙虚さを装ってはいる。しかし、人生経験が乏しいから、隠し方が下手なのである。あるいはわざと零しているのかもしれないが、ところどころに上から目線、傲慢さが垣間見える。
「ぼくは頭がいいです。皆さんは東大法学部じゃないでしょ。国家公務員Ⅰ種試験にも合格してないでしょ。だからぼくの言うことを素直に聴いていればいいんです」
 というような感じでしょうか。
 でもね、話は下手な上に、知識も教科書どおりだからそこも浅く、思い込みが強く、重要なところはぼかしてものを言うから、聴いていて苦痛で苦痛で、こんな話しかできない連中は、間違いなく頭が悪いと思うんだけど、そんなふうに思うのはてワシャが傲慢だからでしょうか。

 霞が関の審議官といえば間違いなくキャリアで、標準装備で「個室、秘書、車」がついている。経済産業省なら、勤務先は霞ヶ関1丁目(日比谷公園南西の角)にある。距離にして1kmない。直線にしたらわずか800mである。信号待ちや渋滞、乗ったり降りたりを考えたら自転車のほうが絶対に早い。しかし、車をあてがわれたキャリアは公用車で移動する。合理的に考えれば、自転車移動の方が時間の短縮になるのだが、そっちを選択する幹部職員はいない。
 エリート官僚は、運転手付きの車に乗って、800mを出勤し、その燃料費、人件費、車両購入費、維持管理費は、国民が支払っている。これで消費税を上げるんだとさ。笑えませんか。笑えませんね。
 エリート官僚には、こんな不届き者もいる。経済産業省の元審議官の木村雅昭(53)が妻とともにインサイダー取引をして逮捕された。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120112-00000014-fsi-bus_all
 50代で審議官だから、まちがいなくエリートである。小学校からずっと成績は断トツトップで過ごしてきてこの体たらくだ。はたして、この人物を、頭がいい、優秀、秀才と言えるのだろうか?少し、地頭を使って考えれば、インサイダー取引の危険性くらい判りそうなものだが、欲の前になにも考えられなくなってしまったんだね。ご愁傷様。チ〜ン。

 コラムニストの勝谷誠彦さんが、今日のメルマガでこんなことを言っている。
《明治初期ではないが、危機管理に関してはもう「お雇い外人」を入れたらどうですか。イスラエルあたりのコンサルタントにすべてをいちど任せてみては。60年の平和ボケをしたしかもおぼっちゃまの官僚の頭では無理ですぜ。》
 明治維新が、徳川のおぼっちゃま官僚では、どうにもならなかった。草莽の中から現れた龍馬や西郷がその原動力となったように、抜本的な人的見直しをしたほうがいい。そろそろ霞が関は限界がきている。