カラスはなにをしたかったのか

 昨日、夜のニュースに「米田きよし」なる人物が出ていた。8月10日の朝日新聞「ひと」欄に登場した《自称被災地で「ボランティアの専属医」を努める》人物である。善意の人物だと思って掲載してみたら、実は単なる詐欺師だということが判明し、その2日後に、社会面で《「ひと」欄で紹介、おわびします》と謝罪記事を載せることになったというお粗末。詳細はこちら。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110812-00000004-jct-soci
 その米田なる詐欺師が、昨日の夜のニュースに堂々と出ているではあ〜りませんか。記者のインタビューにペラペラと流暢に答えている。その表情を見ていて「あ!」と思い当たった。
 ワシャの少ない人生経験の中でも、常習的に嘘をつく人間を何人か知っている。その過去の詐欺師たちに、目の配り方、話しぶり、笑い方などがよく似ていた。こういった輩というのは、嘘が同類項の個性をつくってしまうのだろう。なんだか妙に感心してしまった。そのインタビューはこちら。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110814/crm11081409120002-n1.htm
 偽造の医師免許を使って医師を装い、日本財団から100万円を騙し取っているので、どれほど善意を主張しようと、詐欺師は詐欺師でしかない。医師に化けることにずいぶんお金も使っているようだから、一種の愉快犯だろう。「先生、先生」と言われるのに、快感を味わっていたに違いない。
 だとしたら、なぜ、朝日新聞の取材に応じるのか理解できない。詐欺師がしてはいけないことの第一が、表舞台でスポットライトを浴びてしまうことである。明るいところにでると嘘の皺が見えてしまうからね。なんとか言い逃れて、暗がりに逃げ込まなきゃだめでしょう。新聞掲載などもっての外でしょ。正体がばれかかったら、こそこそと石巻をあとにする。活動のエリアは、東北全体にあるのだ。こんなところで尻尾を捕まえられてどうするつもりだったのか。

※タイトルの「カラス」というのは「詐欺師」を指す盗賊仲間の隠語です。

 今日は北一輝の命日だった。
 松岡正剛『千夜千冊』(求龍堂)で北一輝を繰ると、5巻に『日本改造法案大綱』が取り上げられている。そこを読んでいるのだが、法華経つながりで石原莞爾宮澤賢治ともリンクしているんだなぁ。面白そうだ。また少し勉強してみるか。