東国原氏の講演会

 昨日、愛知県刈谷市の駅前ホールで、先の宮崎県知事東国原英夫さんの講演会があった。7月末に櫻井よし子さんが来たばかりで、その前には勝谷誠彦さん、金美齢さんもここで講演している。刈谷市、豪華なメンバーを立て続けに呼ぶ力量はさすがだ。

 さて、東国原さん、宮崎県知事を辞してから、肉声を聴くのは初だから、どういった経緯で東京に舞い戻り、都知事選に出て、そして現在に至ったのか、そのあたりを語ってくれるものと期待していた。
演題は「行動力と決断力〜今、必要なリーダーシップとは〜」である。宮崎県知事としての決断、宮崎県知事を辞す決断などなど、東国原さんの政治家としてのキャリアの中で、随所で決断を迫られたことだろう。そして、その決断に伴う行動がどうだったのか、野次馬としては興味が尽きない。だから、パセリ君にお願いして最前列の席を確保してもらった。

午後7時、東国原さんが登壇する。甲高い声で早口で話すのは、そのまんま東のころと変わっていない。まず、ビートたけしの話から入った。そりゃそうだ、そのあたりがもっとも客受けするからね。ビートたけしの一番弟子になった経緯、付き人としての苦労話、フライデー殴り込み事件などを喋りながら客の反応を見極めている。ドッカーン、ドッカーンと何度も会場が沸いた。
「これはいける」
 と、芸人そのまんま東が目覚めたんでしょうな。政治の話など一切触れずに、宮崎県の職員、とくに東国原さんに直接仕えた秘書課長の話をデフォルメしながら、綾小路きみまろのようにキャラを演じ分けながら面白おかしく語る語る。政治家の講演というよりも、漫談か落語を聴いているようだった。
 ネタの内容は、東国原さんの著書『そのまんま〜東へ!』(KKベストセラーズ)、『決断力』(創英社/三省堂書店)から持ってきたものばかりで、秘書課長の話以外に目新しいものはない。
 間違いなく政治講演会ではなかった。そちらの方面で得るものはなかった。しかし、そのまんま東の漫談の独演会だと思えば、よく笑わせてもらったので900円の木戸銭も惜しくない。

 今回の漫談独演会で解かったこと。
そのまんま東は芸人としては大成しない。
○次の衆議院議員選挙には間違いなく立つ。
○1期で宮崎県政を投げ出したいい加減さは未だに垣間見える。
○上昇志向が強い。
○師匠ビートたけしには絶対に逆らえない。
○政治家としては、河村名古屋市長よりも上等、大村愛知県知事と同等くらいの位置か。
道州制大阪都中京都構想には賛成
○「笑いと政治の融合」と言っていたが、これはポピュリズムに走る危険性をはらんでいる。
○やはり大衆迎合によって立とうとする政治家は、軽躁さから脱却ができない。

 東国原さんは、「日本をどげんかせんといかん、地方をどげんかせんといかん」と言われた。しかし、説得力がない。なぜか。やはり宮崎県を1期で抜けてしまったという尻の軽さが、言動から出てしまっている。せめて2期、腰を落ち着けて宮崎県政と向き合うべきだったと思う。