福井地震の日

 ああ、今日は福井地震の日だった。
 1948年だから、63年前のことになるのか。震源福井市の隣の坂井市である。M7.1のごく浅い直下型地震だった。この地震で3,769人の方が犠牲者になっている。これも大震災と言っていい。
 ただ、まだこの頃には、敦賀半島原子力発電所はないから、そっちの心配はなかった。でも、今なら大騒ぎなんだろうね。

 敦賀といえば、ずいぶん昔に敦賀半島西岸の水晶浜に行ったことを思い出した。浜から30メートルくらいの民宿で、縁側から透明な海が見通せる。だから、海水パンツでそのまま海まで行ける。縁側から庭におりて、庭先の垣根にちょっと隙間がある。そこを抜けると白い砂利道が海まで下っている。砂利道の周囲は民宿の畑で、でかいトマトが生っていた。
 浜に出る。透明度はまさに水晶だった。そこにウインドサーフィンのボードを浮かべて、その上で昼寝だ。これはたまりませんぞ。浜では仲間がバーベキューの支度を始めている。できるまで、沖で波に揺られていようっと。
でも、夏の日差しは強い。麦わら帽子で遮っているものの、それでも網目の隙間からチラチラと日がこぼれ目障りだ。しかたがないので腹ばいになって頭を北に向ける。やれやれようやく落ち着いたわい。
 おおお、北の岬の突端に、美浜原子力発電所の巨大な建物が威容を誇っているではあ〜りませんか。ひなびた海水浴場とその先の岬、その空間の中に無機質な建物……いやはやなんともチグハグな組み合わせですな。

 夕方になって、民宿にもどる。風が凪いで部屋の中が蒸している。当時、民宿には珍しいクーラーが部屋毎にあって、コイン式かと思えば、使いたい放題なんだそうな。おおお、これも原発のお蔭かいな。
 
 翌日も晴天で、日がな一日、海で遊んでいたが、でも、やっぱり美浜の海の向こうの原発は違和感があったことを記憶している。だから、どうということでもないのだけれど……。