自衛隊のいい話 その2

(上から続く)
 久慈力という岩手県出身の運動家がいる。この人の著作がワシャの本棚の左巻きコーナーにあった。『防災という名の石原慎太郎流軍事演習』(あけび書房)である。
 内容は、石原都知事が実施した防災訓練「ビッグレスキュー東京2000」への誹謗中傷である。この中で久慈さん、徹底的に自衛隊をこき下ろしているのだ。例えば、地震で橋が落ちた時の応急架橋訓練をすれば《それはまさに「戦場に架ける橋」そのものであった。》と言う。
 この人、久慈と名乗っているところをみれば、岩手県久慈市出身なのかもしれぬ。どちらにしても岩手の方なので、今回の大震災で関係者が被害を受けているに違いない。久慈さんが批判していた自衛隊は、久慈さんの故郷を救うために必死に働いている。「戦場に架ける橋」と揶揄した橋も、本当に被災地で橋となって役立っている。よかったでしょ。東京で訓練しておいて。
『防災という名の石原慎太郎流軍事演習』は、ある意味においてとても興味深い本である。どこまでイデオロギーに染め上げられたらこんな妄想ができるのか、教義と洗脳について考えさせられるオカルト本である。

 そう言えば、評論家の三宅久之さんがこんな話をしていた。たまたま、飛行機で左向きの女性記者と同席したことがあるのだそうな。その時の機内には、迷彩服の自衛官も2人同乗していたそうだ。着陸後、この左記者がプッツンした。
「なんで迷彩服を着て飛行機に乗ってくるのよ。軍靴の耳鳴りがするわ。自衛隊と同じ飛行機に乗るなんて不愉快だわ。目立つところに軍服で現れるなんて自衛隊は近々戦争を起こすつもりなのね。あー気分が悪い。サイテーなフライトだったわ……」
 と、三宅さんにまくしたてた。普段は物腰のやわらかい賢明な女性なのだが、一旦「9条病」が発病すると恐ろしいことになる、三宅さんはそう言って笑っていた。

 今までは、自衛隊に対してこういう反応を示すマスコミ人が多かった。筑紫哲也久米宏などはその代表格だ。しかし、ようやく「9条狂信者」の呪縛が解けたのか、いろいろなメディアで活躍する自衛隊員の姿を目にするようになった。
 これが普通の国のあり様だと思うのだがいかがかな。