結婚式で主賓あいさつをする その2

(上から続く)
「夫唱婦随、比翼連理、異体同心、偕老同穴、朝雲暮雨、琴瑟調和……」
 小難しくてこんな四文字熟語は使えましぇん。
 だから、ワシャは自分らしく映画の話でもして締めくくるつもりだ。こんな感じかなぁ。
「これからの人生、いろいろなことがあるでしょう。晴れた日もあるし、雨の日もある。ときには喧嘩もしたりするでしょう。行く先に山や谷があるかもしれません。そんな時にね、心を晴らすいい映画があるんです。悲しいとき、私は、『男はつらいよ』を観ることにしています。とくに好きなのは1975年の作品で『寅次郎相合い傘』という作品が傑作です。この作品で、寅次郎とマドンナのリリー、これを浅丘ルリ子さんが演じていますが、この二人が相手のことを思いやる姿にはいつも感動します。とくに京成柴又駅前の雨のシーンが秀逸です。ぜひ、悲しくなったときにはDVDを借りてきてご覧ください。心がほっこりとしますよ」
 さて、祝辞のクライマックスである。
 おもむろにキャリーバッグの中から『寅さんDVDマガジン』の第3号を取り出す。
「おおお!こんなところに『寅次郎相合い傘のDVD』が入っておりました。なぜ、こんなところにあるのかよくわかりませんが、せっかく、出てきましたので新郎新婦に贈呈したいと思います」
 最後に結びの言葉を真面目に述べて、締めて16分、ちょっと長いような気もするが、ギャグを入れたり、いろいろな趣向を凝らしているのでどうしてもその程度の時間になってしまう。
 こんな主賓あいさつでいいのだろうか。