御園座二月講演

 歌舞伎仲間と御園座の昼公演にゆく。出し物は「芦屋道満大内鑑」から「葛の葉」、そしてご存知「勧進帳」、いきな黒塀見越しの松に〜の「与話情浮名横櫛」の「源氏店」と名場面のオンパレードだ。
「葛の葉」は福助である。スーパー陰陽師の安倍清明生誕にまつわる話。母は大阪信田の森にすむ狐で、だから清明はいろいろな超能力を持っていたんですね。物語は、母葛の葉が「狐」であることがばれてしまい、清明を置いて森に帰らねばならない。その子別れの愁嘆場は見どころ。
 ご存知「勧進帳」はご存知のとおり。見事なサスペンス劇に仕上がっており、どの場面をとってもわくわくどきどきの作品である。惜しむらくは、中村梅玉の声である。声がでていないんですね。先般、お亡くなりになった富十郎丈であれば、朗々とした富樫のセリフが聴けたものを、ああ、残念。
 もしも、あの海老様が名古屋入りを果たしていれば、ハードな役どころの「弁慶」を海老蔵がやって、そうなれば父の團十郎が「富樫左衛門」をこなせる。その方がよかったなぁ。
 七之助の「義経」はかわいい。いかにも「勧進帳」の「義経」らしく好演している。七之助義経海老蔵弁慶のボーイズラブも見てみたかった。
 昼の部のお仕舞は、「御新造さんへ〜、おかみさんへ〜、お富さんへ、いやさお富、久しぶりだなぁ」の「源氏店」である。
 でも、与三郎がやっぱり梅玉。この人、普通のオジサンなので細面の美男子与三郎が似合わない似合わない。やっぱり与三郎は、仁左衛門か、この間は、染五郎で切られ与三を見たけれど、やっぱりさっぱり顔の色男が演じなくっちゃぁ、お釈迦様でも許されめぇ。
 でも、久々の歌舞伎だったので、とても楽しかったのじゃ。