透きとおる景色

 昨日はいい天気だった。3日前も大気が透きとおったいい日だった。そういう日は、会社の7回まで上がって展望室から北の方向をしばし眺める。
 まず、目に入るのが正面からやや右手に見える大どんぶりを伏せたような山である。どうだろうここから70キロほどだろうか。岐阜と長野の県境に立つ恵那山(2192m)が望める。山頂にまだ雪はない。そのどんぶりの左肩越しの奥に雪を乗せたギザギザの連峰が並ぶ。中央アルプス木曽山脈である。南駒ヶ岳(2842m)、空木岳(2864m)、三沢山(2847m)とあり、その背後に主峰の木曽駒ヶ岳(2956m)が泰然とひかえる。
 そこから左に目を移すと……一峰凛然と御嶽(3061m)が立っている。他に何も従えず、雪の冠を戴くそのお山、なるほど、この孤高さゆえに民間信仰を集めているのだな。自然地物にも関わらず気高さを身にまとっている。
御嶽の左の足元に小さな山がかしこまっている。豊田市の北辺にある猿投山(629m)である。御嶽の神々しさに比べ、いかにもだらしなく寝そべっているような猿投は、毘沙門天に踏みつけられている邪鬼のようだ。
 ああ、こんな天気のいい日に会議室にこもって仕事三昧とはねぇ。とほほ。

 今日も今日とて、世間の皆さんは土曜日だというのに、ワシャは出勤なのであった。午前5時では周囲はまだ真っ暗闇なので、天候の善し悪しは判断できないけれど、いい天気だったら悔しいなぁ。