昨日の続きの一昨日の話

 結局、いつもの本屋に入ってしまった。
 数冊の本を選んで、最後に週刊誌コーナーへゆく。「週刊現代」を手に取って、日垣隆さんの連載「なんなんだこの空気は」を立ち読みする。
およよ、今回は、公営ギャンブルを攻撃しているのか。いやいや、日本のいびつなギャンブルの現状を示しながら、人生の選択肢の少ない会社員を、アイロニーを交えて語っている。ううむ、深いのう。この号は買っておこう。
 家に帰って、改めて「週刊現代」を開く。巻末のカラーグラビアはアイススケート村主章枝だった。ガックリ↓
 バレリーヌ草刈民代もカラーページを8ページ占めている。サイボーグのような裸体にやや大きめの乳首がついている。とてもじゃないが官能的な写真とは言えない。

 おっと、巻頭に面白そうな記事がありましたぞ。「細川護煕の世界」という特大号特別企画である。この中に細川家が持っている軸が紹介されていた。江戸時代中期の禅僧、白隠慧鶴(はくいんえかく)の書で、「暫時不在 如同死人」と大書されている。太く力強い筆致だが、どことなく丸みがあってやさしい字だ。
 意味は、「少しでも油断があり、修行する心が途切れたならば、それは死人と同じである」ということで、むむむ……耳に痛い。
 久しぶりに白隠の書を見たので、書棚から白隠の本を何冊か引っ張り出してきた。白隠禅師法語全集の、『邊鄙以知吾・壁訴訟(へびいちご・かべそしょう)』『於仁安佐美(おにあざみ)』『壁生草(いつまでぐさ)』などである。変な題の本ばかりだが、なかなか面白いんですよ。
 その白隠禅師、好んで「死」という文字を使う。本を繰ってみるとわかるが、あちこちに死に関することが書かれている。
「武士たるもの、死字に参究しなければいけない。そのためには毎朝胸の上に死の字を二三十ずつ書くべし」
 曲解だが、常に死を身近なものと考え、潔く生きよということだと思っている。

週刊現代」のおかげで久々に背筋がシャンとしたのだった。