時の過ぎ行くままに

 7年前に突然逝ってしまった友人の自宅を訪ない仏前に焼香する。
 仏間の長押に友人の写真が掲げてあるが、あたりまえだけど、7年前のままだ。こっちは老けたぜ。
 悪友の葬儀のとき、母親にすがって泣いていた小学生の娘二人は、高校3年生と中学3年生になっている。時が往くのは早いねぇ。
 友人が亡くなった直後、姑と嫁はぎくしゃくしていた。でもね、歳月は角を削っていくようで、4人の女が座敷の隅に固まって座っているのだが、落ち着いた調和が流れている。女4人である。きっとささやかな諍いくらいは日常的にあるだろうが、それなりに家族らしくなってきた。肩を寄せ合って生きているんだね。
 小一時間ほど友人の家族と他愛もない話をしていた。そのうちに旧友らが一人また一人と集まってくる。仲間が顔をそろえれば、「ヤツを偲んで一杯やろう」ということになった。
 そうなると話が早いんですね。そそくさと友人宅を辞す。おっと、娘にお土産を渡すのを忘れていた。玄関で見送っている姉妹にピーターラビットの包装紙の図書券を手渡して仲間のあとを追った。
 駅前にある全国展開の居酒屋に腰を落ち着けた。2時間ほどわいわいやって帰宅する。
 少し飲み過ぎたのか、胸のあたりに不快感がある。う〜む、これも生きている証拠なんでしょうね。そんなことを実感しながら寝ちまいました。