アウグストゥスの時代

 愛知県美術館で開催している「大ローマ展」
http://event.chunichi.co.jp/roma2010/
のチケットが手に入ったので友だちと出かけた。最終日だったので混んではいたが、なかなか見応えがあって楽しかった。
 展示物の年代は、時代的にはB.C.1世紀からA.D.2世紀くらいで、展数は百数十点に及ぶ。なかでも圧巻は、高さ215cmの皇帝座像である。総大理石のオクタビアヌスローマ帝国初代皇帝)がトーガを腰から肩に掛けて座っていた。ギリシア最高神であるゼウスを模して作ったと言われているからだろう。神々しい威厳をもって目の前を通り過ぎていく下々のものを見下ろしている。
「アレッツォのミネルヴァ」
http://event.chunichi.co.jp/roma2010/highlights/special.html
もいい作品だった。ブロンズ製の150cmほどのアテナ(知恵の女神)の立像である。知恵の足りないワシャはしっかりと拝んだのだった。
 それにしても2000年も昔にこれほどの芸術文化が花開いていたとは驚きだ。ようやく日本人の祖先が素焼きの弥生式土器を作り始めた頃に、数多くの緻密な工芸品、美術品を製造している。生活洋式を見れば、庭には花々を植え、蛇口を捻れば水が出る。壁はモザイクが施され、室内に噴水まであった。これが王侯貴族の家ということではない。港町にある普通のローマ市民の家なのである。当時のローマ市民が、どれほど快適な暮らしをしていたかということが見えてくる。ある意味、現代人よりもずっと幸福な世界だったのだろう。

 塩野七生ローマ人の物語』(新潮社)、ハリウッド映画の「アントニークレオパトラ」、星野之宣の「妖女伝説」などにもこの時代のことが描かれている。ワシャのローマ好きの取っ掛かりはこのあたりから始まっている。しかし、実際に現物の彫刻や絵画や装飾品を間近に見ると、やっぱり圧巻だなぁ。
 う〜む、ローマに行きたくなりましたぞ。飛行機には乗りたくないけど……。