あわただしい週末 その1

 昨日は忙しかった。午前中は職場に顔を出す。年度末にむけて未処理の書類が膨大な量になっている。整理をしておかないと引継ぎなどで混乱するからね。
 午後は買物に出た。自宅にも書類、資料、コピーなどが、大袈裟ではなく山ほどある。それを整理・分類するためのバインダーが欲しかった。郊外の大型スーパーの中にある文房具店でバインダー5冊とメモ用のノート5冊を求める。
 自宅にもどって書類の整理。結局、夕方までかかってしまった。午後5時をまわってようやくパソコンの前に座る。今から3時間ほどお勉強の時間だ。前回、「名言塾」(荘子)を八甲田風邪で休んでしまった。だから、スタッフの方が気を利かせて、呉智英先生の録音を送ってくれた。少しキーの高い呉先生の講義を再生しながら、一人書斎で、
「それ分かつとは分かたざる有り、弁ずるとは弁ぜざる有り。曰く、何ぞや。聖人はこれを懐にし……」
 と音読をしながら、呉先生の講義の要点をノートに書き出したりしていた。
 夜になると腰が重くなってくる。ほっておくと痛みが出てくるので風呂で腰をじっくりと温めなければならない。だからワシャは風呂でゆっくりと本を読む。夕べは『松岡正剛千夜千冊 書物たちの記譜』(求龍堂)をもって湯船に浸かった。う〜む、この巻では、松岡正剛の読書術が開陳されている。
《ぼくはこの本で初めて、世の哲人や学者や革命家たるものがマーキングをしながら本を読んでいるのだということを知ったのだった。そうか、本って書きこみをしていいのか。そうなのだ、本はノートなのである。》
《本を読みながらマーキングするには、いくつものマークを準備する。傍線やアンダーラインだけではあまり役にたたない。色分けをしたとしても、その色に意味をもたせなくてはいけない。ぼくのばあいは二十種類以上のマーキングが分類されていて、読みながら次々にその分類マークを繰り出している。》
 なるほど……。
 湯船の中で腰が暖まってくると、前日の睡眠時間が少なかったせいもあって、だんだん眠くなるんですな。『千夜千冊』はどの巻も重量があって、この本も1.2キロある。だから、うとうとすると本が湯舟に浸かりそうになる。眠気と闘いながら、本を濡らさないように本を読むのは、緊張するのだった。
(下に続く)