御園座で歌舞伎 その2

(上から続く)
 三段目では、道化の鷺坂伴内役で亀蔵が登場する。ワシャはこの片岡亀蔵という役者が気に入っている。滑稽な役をやらせたら天下一品だ。先月の「法界坊」でも勘三郎とからんで会場を大爆笑させていた。がんばれ亀蔵
 四段目の判官切腹の場では、一緒に行ったご婦人を含め何人かの観客が感動して泣いていた。もちろんこの場面は前半の「泣かせの場」なので泣いていいのだが、ワシャは高校生とともに寝ていたので泣けなかったぞなもし。それにしても橋之助判官、なかなか上手くなったじゃないか。
 三段目、四段目と団十郎が大星由良之助として登場するが、大根だろうがなんだろうが、その存在感の大きさはさすがに宗家団十郎、言うことはありません。
 昼の部の最後は「浄瑠璃 道行旅路の花婿」、ここで仁左衛門がようやく登場する。勘平役である。それにしてもいい男だねぇ。息子の孝太郎がお軽で、息もぴったりだ。桜満開の東海道戸塚の山中で、追っ手の鷺坂一味と大立ち回り。
 あれれ?この一連のドラマの発端は、鎌倉鶴ヶ岡の兜改めでしたよね。あの時には隠れ銀杏は黄葉していた。あれから事件はトントントンと進んで、切腹、城明渡し、そしてお軽勘平の道行きと、そんなに日数は掛かっていないのだけれど、季節のほうは春真っ盛りになってしまうのね。
 まあ、歌舞伎というドラマは、時を超え場所を超えて、かっ飛んでいく荒唐無稽さが魅力なので、そんな細かいことは詮索しないでおこう。

 さあて、夜の部が楽しみになってまいりましたぞ。