現実を直視していない業界

 加盟店に弁当などの値引き販売を不当に制限していた疑いがあるとして、セブン−イレブン・ジャパンが公正取引委員会から排除命令を受けた件。
 ローソンの社長が言っている。
「客は棚にたくさんの商品がないと買わない。一定の廃棄を前提とした仕入れをするように加盟店に指導している」
 こういった発言を聴くにつけ、従来のコンビニ業界の考え方が根本的に間違っていることがわかる。ここで何度も書いてきたように、世界経済の右肩上がりというのが長期的に見ればもう「ありえない」ところまできている。資源がないんだ。食糧が足りないんだ。人口が増え続けているんだ。これが現実で、この状況をコンビニ業界が知らぬはずはないのだが……

 セブン−イレブンの井阪社長が記者会見で苦渋の表情を見せていた。でもね、この人の発言を聴いていると、てめえの会社、とくに本部の利益や都合しか考えていないような気がしてならない。
「本部と加盟店の関係は対等」
 なわけないじゃん。
「一部に行き過ぎた強要があったかもしれない」
 一部なわけないじゃん。

 残念ながら大量消費、大量廃棄に支えられた経済発展は終焉した。もうこれからは「もったいない」精神で、世界経済を少しずつ縮小していくことしか持続可能な社会を実現する術はない。コンビニだって同様ですぞ。いつまでも、貴重な食料を捨てることによって利益を上げるなどという不健全なビジネスモデルにしがみついていてどうするのじゃ。

 司馬遼太郎が言っている。
「中世、商人という語感は盗人と同義であった」
 平成の商人は、もう少しまともだと思っていたのだが、どうやら中世の頃よりあまり進化していないということか。桑原桑原……