嘘つき健ちゃん その2

(上から続く)
 嘘つき健ちゃんはずっと「詐称の二段」とともに「青春」を引きずってきた。自身も、「おれは男だ!」の印象があまりに強かったため、アイドルから脱皮できず大人の俳優を目指した二十代後半に悩んだことを書いている。作品的には「砂の器」、「八甲田山」などと名作に恵まれているのだが、「おれは男だ!」の小林弘二役から抜け出すことはできなかった。スクリーンで小林弘二とは違う人物を演じられなかった。それが森田健作という俳優の限界だろう。明治学院大学を中退し、俳優業も中途半端、映画を作りたいと放言してはいるが何かまともな作品を作ったのだろうか。政治では、参議院議員選挙に出たり、衆議院に鞍替えしたり、埼玉県知事に出るのかと思えば、千葉県知事選に出馬したりと、あっちへフラフラこっちへフラフラと何をやりたいのかよくわからない。
『[元気の泉]格言サプリ』に中にこんなフレーズがある。ここに図らずも嘘つき健ちゃんの正体が見えている。
《(中学校に)入学してすぐ、学級委員の選出があった。森田が口火を切った。
「学級委員長はやりたいヤツがやるべきだと思う。みんな初めて会ったばかりで、どんなヤツか知らないわけだから」
「じゃ、やりたいヤツいるか?」と先生。
「ハイ」。もちろん、手を挙げたのは森田である。
 このやり方で、森田は学年委員長にも就任した。》
 要するに、人の上でふんぞり返りたい、人から持ち上げられたい、目立ちたい、という野心ばかりが肥大化しているだけの男ってことですわな。千葉県民の皆様、ご愁傷様です。