落語の夕べ

 昨日、近所で落語会があった。出演は林家竹丸、桂文也(ぶんや)、仲入り後に笑福亭喬楽(きょうらく)、立花家千橘(せんきつ)。上方落語なので高座には見台、膝かくし、小拍子が置かれている。
 竹丸はケチ噺の「始末の極意」、この人、神戸大学を卒業しNHK記者を経て落語家になった。そのために入門が遅い。だから前座をつとめたが、力量はなかなかのものと見た。二代目林家三平より、はるかに上手だった。
 文也の「親子酒」は面白かった。この人は酔っ払いをやらせたら天下一品だ。高座で呑み始めると、だんだん顔が赤らんできて、呂律が回らなくなってくる。楽屋で一杯飲んできたんじゃないだろうか、と思わせるぐらい真に迫っている。昭和27年生まれの56歳、落語家としては今から油がのってくる時期だ。ぽってりとした太り具合も、頭の禿げ具合もいい雰囲気になってきた。
 喬楽は「壷算」をかけた。噺はそれなりに面白かったが、何故かしきりに手拭いを使って顔の汗を拭っていた。壷を買いにきた男も、兄貴分も、番頭もみんな汗を拭っている。最初から最後までずっとそうだった。あれじゃぁ、噺の中に入っていけやしない。それでも、二代目三平より達者だけどね。
 千橘である。落語会のトリをつとめた。出し物は人情噺の「景清」、大ネタである。じっくり語るといい噺なんだが、どうも千橘、落ち着きがない。ところどころに枝雀風を取り入れてはいるが、まったく本家には及ばない雑なものだった。63歳という年齢から、もう少し聴かせる噺家かと思ったが、今一つのれなかった。でもね、下座の三味線とのからみもあってワシャ的には楽しめたのだった。めでたしめでたし。

※因みに、最後の「めでたしめでたし」は「景清」のサゲに引っ掛けた落ちになっています。