釜山再会

 久しぶりに金賢姫を見た。47歳になるというのに、その容色は衰えていない。遠い彼方を見つめているような目、真っ直ぐに通った鼻筋、さりげないショートカットも小さい顔に似合っていた。拉致被害者田口八重子さんの長男、飯塚浩一郎さんと抱き合うシーンには思わず目頭が熱くなった。
 それにしても、この面会が5年もの間、実現できなかった異常さはどうだろうか。前政権、慮武鉉前大統領が阻んでいたことは間違いなく、この一点だけをみても政権が交代してよかった。
 韓国内には、未だに金賢姫への怨嗟の声がある。そりゃそうだろう、115人もの同胞の命を奪ったのだから仕方がない。でもね、テロリスト金賢姫北朝鮮につくられた機能であり、大韓航空機爆破というのは、彼女の意思など関係なしに実行されたことなのだ。ある意味で彼女も被害者なのである。
 金賢姫は、田口八重子さんが望郷の想いを強くもっていたと証言している。そりゃあそうだろう。吾子を日本に置き去りにして、不毛の大地に囚われているのである。それはそれは慟哭の日々だったろう。
 この人たちに対して、日本という国は冷たかった。社会党という政党は相談に訪れた家族を門前払いするばかりか、先代の将軍様と仲のいい土井たか子という人物が、その事実をご注進に及んでいる。アホか!

 ワシャは昨日、「7人の会」に12,000円を振り込んできた。
http://jinken.asia/
 すでに募金は、目標額の650万円を超えて、1000万円に迫る勢いだ。個々の力は弱くても結集すれば大きな力になる。ニューヨークタイムズに意見広告を掲載し、オバマ大統領やエスタブリッシュメントを動かせば、独裁国家から田口さんたちを救出できるかもしれない。
 今、ワシャの目の前には本や新聞がうずたかく積んである。その隙間からパソコンの仮面をのぞきながらキーボードを打っている。その本の山の上に小さな紙片が乗っている。金額欄に「12,000円」と記載された「郵便振替払込受領書」である。この小さな思いが、届け!北朝鮮に。