ローリングタイトルにかぶせてショパンのノクターンが流れた。感動的なラストである。テーマ局でもある平原綾香の「カンパニュラの恋」もよかった。
ただ、緒方拳さんはあれでよかったのだろうか。緒方さんは、この10月5日にお亡くなりになられた。ちょうどこのドラマが始まる直前にである。出来ないことなのかもしれないが、ワシャは緒方さんの死は、ドラマが終了するまで秘すべきだったと思う。
息子の死を見つめる老医師を厳然と演じてはいた。しかし、見る方に「緒方さんの死」というものがオーバーラップする。死に逝くのは息子である貞美(中井貴一)であるはずなのだが、そのシーンに緊張感がなくなってしまう。だって、本物の死は見守る緒方さんの方に迫っているんだもの。ベッドで苦しむ中井貴一に迫っているはずの死が空々しくなってしまう。
末期の状態の貞美を同じ病で先に死んでいる二神(奥田瑛二)が迎えにくるシーン。「行こうぜ」と誘う二神が手を伸ばす。その手に触れようとベッドから手を出す貞美……手が出た瞬間に、ミケランジェロの「アダムの創造」だと解った。ありふれた演出だ。
突っ込みどころはいろいろあったが、久しぶりの富良野の風景は懐かしく、印象的だった。