人間汗の如し

http://www2.diary.ne.jp/logdisp.cgi?user=106046&log=20081128
 ウラシマさんの日記が面白かったので、ワシャも「人間汗の如し」じゃなく「綸言汗の如し」の話題を一つ。

 先日読んだ加藤廣『謎手本忠臣蔵』(新潮社)の中にこの言葉がでてくる。
 江戸期の田中真紀子と言われていた春日局が不敬にも後水尾天皇に拝謁した時に帝がこの言葉を発せられた。この言葉の意味を理解できなかった春日局は、なにも答えないまま江戸に戻った。帝は間髪を入れずに退位し徳川の血を引く興子(おきこ)内親王に譲位してしまう。古代より女帝は非婚と決まっており、これで興子内親王が他の皇族と結婚して天皇の血を受け継いでいく可能性を失った。天皇の一系に徳川の血を入れようとした家康の遠大な目論みは春日局という無教養なオバさんのために瓦解してしまったわけである。
 天下の春日局ですら知らなかった「綸言汗の如し」である。最近、頓にレベル低下の著しい記者が知らなくても仕方ないと思う。でも、なぜこの記者は「人間汗の如し」という言葉に疑問を持たなかったんだろう?こんな言葉聞いたことないでしょ。どうして調べなかったのだろう?日本国語大辞典の「汗」を引けば「綸言汗の如し」はすぐに見つかるし、もっと簡単なのは「汗の如し」をネット検索してみればいい。87,500件も引っ掛かってきましたぞ。
 知らないことがたくさんあるのは当然だ。知らないということは必ずしも恥ずかしいことではない。でも、文で立つ記者、ジャーナリストならこんな間違いをしていてはお寒い限りである。がんばってね。産経のうっかり記者さん。

 それにしても麻生首相の言葉の軽さは嘆かわしいばかりだ。前言撤回どころか書いたことすら全面否定してしまう悲しさよ。小沢さんが麻生首相に「綸言汗の如し」という言葉を投げかけた気持ちも解るような気がする。そんなことでは、香奈枝の携帯を盗られますぞ……あれれ、何か間違ってますか?(笑)