要らざる者ども その1

 道州制のことである。
 宮崎県の東国原知事は、道州制のメリットに「二重行政の無駄」を掲げている。この二重行政の無駄についてもう少し詳しく触れよう。
 現在、各都道府県には国の出先機関である地方支分部局が多数配置されている。例えば愛知県庁の周辺には、中部運輸局中部地方整備局、中部経済産業局、東海財務局、東海農政局、国税局など国の機関が立ち並んでいる。これはどこの県庁所在地でも似たような状況で、宮崎県でも同様だ。その他にも国の出先機関は愛知県内に数多存在しる。タウンページで数えたら270もありましたぞ。公団・事業団を含めれば300を軽く超えてしまった。県の施設はというと県庁周辺の三の丸、丸の内の県施設群を除いても県下に250を超す施設が存在する。これに市町村の役所・役場が加わるわけだ。
 国道(国土交通省)と県道が交わる交差点で、農林水産省の管理する水路でもあってごらんなさいよ。子供たちの安全のために交差点改良工事をしたくたってなかなかできないから。国から補助金をもらって歩道の整備をしようなんて思ったら、さあ大変、まず県の出先機関である建設事務所にお伺いをたてて、それから県庁の道路関連部局、その後、中部地方整備局の関係部局を幾つも回って、それから国土交通省に上がっていく。こんなまどろっこしい事務に市町村職員は対応させられているのである。
 簡単に考えれば、歩道を修繕したい市町村が国に行って説明すればそれで事足りるわけなのだ。しかし、県が「市町村の職員の事務レベルは低いので県が指導監督せねばならない」という理由で、事故米の流通に介在したブローカーのように割りこんでくるからどんどん事務は停滞し、年度末に工事ばっかりしているという状況になる。東国原知事は「二重行政」と言ったが、市町村から見れば「三重四重行政」になっている。
(下に続く)