東京ツーリング(2)「靖国を目前にして倒れる」

 つくしを出た一行(6人)は雷門前で記念写真を撮ると、吾妻橋を渡って左岸の遊歩道(隅田川テラス)を快走する。蔵前橋を越えたところで隅田川を離れて再び街に戻った。復興記念館を見て、江戸東京博物館の東を通って、国道14号靖国通り)に出る。そこからは西へ一本道。両国橋、馬喰町、岩本町と走り抜け、小川町の交差点から大きな右カーブを回りこむと我が愛しの神保町だ。
 神保町に差し掛かって、あっと驚くタメ〜ごろ〜おおおおお。靖国通り両側の歩道に人がごった返しているではあ〜りませんか。そうか、今日は「神田古本まつり」の日だったわい。
その時である。突然、下腹部に痛みが走った。
「あたたたた!」
 ワシャは自転車を降りると、路肩に座りこんだ。伴走していた仲間が駆け寄ってきて「しっかりせよと、抱き起こし」た。
「大丈夫ですかワルシャワさん」
「う〜む、ここまで来て無念じゃ。しかし君たちはワシャに構っていてはいけない。君たちはワシャの屍を乗り越えて前進するのだ。靖国で合おう」
 仲間は、涙を堪えながら九段方向に走り去って行った。ワシャは彼らの姿が見えなくなるまで手を振っていた。あらら?そうすると不思議や不思議、先ほどまでの痛みがウソ(笑)のように消えている。助かったわい。周りを見渡せば、ワシャの大好きな神保町でんがな。こりゃぁ古本を漁るしかありまへんわなぁ。
 ということで元気になったワシャは古本屋の中に消えていくのでありました。(つづく)