鬼畜への処遇 その2

(上から読んでね)
 奥浩哉『GANTZ』(集英社)というコミックがある。
http://ja.wikipedia.org/wiki/GANTZ
 この中に、桜井弘斗という超能力を持つ少年が出てくる。彼は体育教師や先輩たちに執拗に苛められ、その結果として超能力に目覚めて彼らを殺してしまう。(詳細は『GANTZ』を読んでね)その桜井くんが、新宿でサブマシンガンを乱射する殺人鬼に遭遇する。その時、超能力者の師匠との会話である。
桜井「俺と……師匠で、アイツ…後ろの乱射野郎やれないすかね」
師匠「は?」
桜井「ねェ師匠」
師匠「おまえなァ」
桜井「師匠なら銃の弾止められますよね」
師匠「あのな、俺のことマトリックスかなんかと間違えてないか?」
桜井「どうするんすか?銃の弾止めんの」
師匠「おいおいマジ行く気かよー」
桜井「弾止めたことないすか?」
師匠「あるかよッ、ンなのッ。あほかッ」
桜井「無理すかね、銃とやりあうのって……」
師匠「おまえ能力を過信しすぎだ。マジ死ぬぞ。はやく逃げた方がいい。ったく中坊は命を軽く捨てすぎんだよ」
桜井「ここで死んでもいいんですよ、俺と師匠は」
師匠「なんで死ななきゃなんねーんだよッ。アホか!?おいッ逃げた方がいいッ」
桜井「俺と師匠は人間を殺した」
師匠「!?」
桜井「殺人をした人間は…本当は生きていちゃいけないんだ」
 この二人は、この会話の後、徒手空拳で乱射男と戦って二人とも死んでしまう。

 誇りをずたずたにされ、自らの尊厳を守るため緊急避難的に殺人を犯してしまった桜井くん、それでも彼は「殺人を犯した自分は生きてちゃいけないんだ」と言いきった。この一言に尽きると思う。人の命を故意に奪ったものは、自分の命も失う。それでいい。人権などというイデオロギーを持ち出すからおかしくなるんだ。死刑廃止論者が御託を並べているが、そのことごとくは良識のある論者によって論破されている。かけがえのない命を弄んだ者は己の命で償う、それが至極まっとうなことだと思うけどどうでしょう?