柳生博講演会

 一昨日、俳優で日本野鳥の会会長でもある柳生博の環境講演会があったので聴きに行った。
 話の要旨は「鳥や虫たちが機嫌よく生きられる環境、里山を復活しよう」ということと、そのためには「日本野鳥の会」若しくは自身が主催する「コウノトリファンクラブ」に会費を払って会員になろうということの2点だけである。これだけの内容で2時間引っ張った。ある意味で凄い。
 貧弱な話をメモったのでいくつか羅列しますね。
○環境の問題で大切なことは、それで儲けようと思わないこと。
○私が出演したNHKの「生き物地球紀行」、西欧諸国に輸出が多かった。だから外国ではキムタクより有名だ。(ここは笑わせ処だったのだが、前振りがヘタでもう一つ会場が沸かなかった)
○日本人は、秋の虫が鳴くと、「秋だなぁ」と思う。そういうDNAを持っている。西洋人は無視の声を「ノイズ」だと思っている。
○日本人は、秋の枯葉がカサコソ鳴っていると、「秋だなぁ」と思う。西洋人は、「汚い」と思う。
○日本人は里山の民だ。里山(田んぼ・集落・雑木林・小川)に生物がいる。鳥たちが、生き物が機嫌よく生きられる環境、里山を再生しよう。
○「日本野鳥の会」に入ろう。
○「コウノトリファンクラブ」に入ろう。
○息子が経営する「八ヶ岳倶楽部」に行こう。
 後半は、最後の3項目ばかりを執拗に話題にしていた。ナンシー関が「クイズハンター」の司会を務める柳生博を評して《妙に粘液質な司会ぶり》と言っていたが、まさにそのとおりでしたぞ。
 この人、ナレーションは名人だが講演はあまりお上手ではないようだ。まず全体構成が甘い。話に一貫性がない。思いが先行し過ぎて話がまとまらない。もう少し司馬遼太郎の講演CDなどを聴いて勉強したほうがいい。それから聴衆に語りかけるのはいいのだが、タメ口が多すぎる。
「〜じゃないんだ」「〜だろ」「〜わけだ」「〜ねえんだ」「〜だよ」「〜たってよ」
 本人は親しみを醸し出しているつもりなのかもしれないが、初対面の聴衆には耳障りだ。普通に丁寧に語ればいい。
 梅原猛養老孟司小沢昭一五木寛之森本敏日垣隆勝谷誠彦宮崎学呉智英寺島実郎、松原敏、福岡正行……などいろいろな方の講演を聴いてきたが、どの方もそれぞれの語り口があって巧かった。90分などあっという間だった。このラインナップと比べると柳生さんは聴き劣りがする。もう少しお気張りやす。高い講演料を取っているんだから。