新幹線の大騒動 その2

(上から読んでね)
車掌「お客様、申しわけありませんが席をお空けください」
男「その人、僕の足を叩いたんです。警察を呼んでください」
女「そのことはあやまりました」
 車掌は役に立たず、またどこかに消えてしまった。
 熱海で客が動き、空席が幾つかできた。ワシャの右横5ABCが空いたので、女は一番窓際、トラブった相手の前の席に陣取る。
 また車掌がやってきて、窓際の女に何かボソボソ話している。それに女が甲高い声で応えた。
女「座りたかったというわけではないんです。常識がないから注意したんです」
 そうなの?
 車掌は女を2号車のデッキに連れていった。事情聴取らしい。それから品川の手前まで3人の車掌が入れ替わり立ち替わりやってきては、交互に女と男をデッキに連れ出した。都合3回、二人は事情を訊かれている。
 女は品川の直前で席を立った。車掌が現れたときに女の姿がなかったので周りの客に「こちらの方はどこへいかれましたか?」とあわてて聞いているのが笑える。
 男は何事もなかったように東京で降りた。

 背後の席でどたばたされたので、三島駅からこっち読書が捗らなかったわい。これもみんな4列Cの席に座っていたヤセ気味男のせいだ。こいつはトラブルの一部始終をずっと見ていたにも関わらず何も言わなかった。トラブルの早い段階でこの男が「お互いに譲り合いましょうよ」と仲裁していれば簡単におさまっていた。仲裁は時の氏神という。立ち位置というか座り位置は絶好のポジションにいる。声を出そうよ、オジさん。

 ところが大騒動はこれだけではなかった。(つづく)