「ちりとてちん」終わる

 ようこそのお運びで。厚く御礼申し上げます。

 昨日、NHK連続テレビ小説ちりとてちん」が終了した。NHK出版から出ている『ちりとてちん(上)』の帯にはこう書いてある。
《自信なし!特技なし!将来の夢なし!バラ色の未来を妄想しては、現実とのギャップに凹む毎日。そんな悩める“へたれ”な女の子・和田喜代美が、高校卒業を目前に一大決心!故郷の福井・若狭から大阪へと飛び出し、そこで上方落語と出会います。》
 へたれ少女は道に迷いながらも、自分の居場所を見つけて、十数年を経て生きがいとはなんなのかを解明していくという人情ドラマである。
 久々に面白いテレビ小説だった。BSで午前7時30分から放送されたので、出勤の支度を整えてから観た。あるいは整えながら観て、あわてて出勤すると言うこともあった。
 このドラマ、パート2ができると思う。なにしろキャラクターが揃っている。主人公の喜代美も然りなのだが、その周囲にいる人物がそれぞれ強い個性を持っていて「こいつどんな人生を送ってきたんだろう。この後、どんな人生をおくるのだろう」と思わせるキャラばかりなのじゃ。
 例えば徒然亭四草(つれづれていしいそう)、この男は喜代美が入門した落語家の草若師匠の四番弟子なのだが、冷静で計算高く他者をバカにした言動が目立つというクセ者である。演じた加藤虎ノ介がうまかったせいもあるが、人物に奥行きがあって気になる登場人物に仕上っている。
 京本政樹演じる和田小次郎も面白い。主人公のオジさんという設定で、定職をもたず一攫千金ばかり狙っているプータローだ。喜代美の知人のフリーライターと結婚するのだが、その後も波乱万丈がありそうなキャラである。
 その他にも、居酒屋「寝床」の熊五郎木村祐一)夫婦、草若の一番弟子の草原一家などなど、外伝となりそうな人物が目白押しなのだ。こんなおいしい設定をテレビ局がほっておくわけがないでしょ。
(下に続きます)