伏せろ!

 1963年に製作された「大脱走」という映画がある。第2次世界大戦の時に実際にドイツで起こった集団脱走を題材にしてスティーブ・マックィーン、チャールズ・ブロンソンジェームス・コバーン、ジェームス・ガーナーなど豪華キャストで映画化された。
 実際に捕虜収容所から76人が脱走してドイツ国内は大騒ぎとなった。このために7万人の軍隊・秘密警察が投入され、後方撹乱という使命は充分に果たしたと言える。しかし、12人がドイツ陸軍に捕まり収容所に連れ戻され、50人がゲシュタポの手に渡って射殺されるか、若しくは逃走中に犠牲となったものと思われる。結果として生還したのは3人と言われている。

 この映画の1シーンにこんなのがある。
 デヴィッド・マッカラム演じる英国空軍士官ピットは列車で逃亡していた。列車が遅れたためか何人もの仲間が同じ列車に乗り合わせている。ピットが尊敬するバートレット少佐(「ビッグX」と呼ばれる集団脱走計画の首謀者)もいた。
 列車は終点駅で停まって、乗客が続々とホームに降りている。すでに大脱走の連絡が各警察やドイツ軍に伝えられており、改札では検問が始まっていた。検問を受けるために行列に並んでいるバートレットを見とがめたドイツ兵がいた。そのことを察知したピットはそのドイツ兵に体当たりを食らわせてバートレットから注意を逸らすことに成功する。ドイツ兵はホイッスルを鳴らしたため、検問員たちもピットに気を取られてバートレットたちは無事に検問を通過することができた。
 本題はここからだ。
(下に続きます)