論語塾

 呉智英という思想家がいる。小林よしのりは『ゴーマニズム宣言』の中で彼についてこう書いている。
《脅威的な読書量をこなし、知で武装して近代民主主義批判を始めた思想家である》
《「人権思想を疑え!」「人間は平等ではないのだ!」「差別はあっていい!」「このままだとアメリカのような訴訟社会になってしまうぞ」呉智英は民主主義を否定する》
呉智英は正しい。正しい上にまわりくどいもったいぶった文章は書かない》
《彼の意見の過激さが実は儒教の影響から発したものであること。孔子の論理が実は古くさい道徳の押しつけではなく危険思想であること。彼は著作でそれを訴えてきた》
 その呉先生が名古屋で論語を教える塾を開いた。名古屋博学本舗の主催だ。
http://hakugakuhompo.michikusa.jp/
 第一等の思想家による『論語』の講義である。聴きのがす手はあるまい。
 ということで1回目に参加した。
 ううむ……論語がこれほど危険思想満載のものだったとは……初回から目から鱗ならぬ鰓蓋(えらぶた)が落ちたわい。風邪熱を押して、寒風吹きすさぶ名古屋鶴舞まで出掛けた甲斐があった。
 定員は30人、まだ若干の空席がある。この混迷した世にあって本物の儒教思想に触れるのも悪くないぞよ。少なくとも脳味噌の白痴化を進めるだけのパチンコなどしている場合ではない。
 早速、呉智英『現代人の論語』(文春文庫)を注文した。