道路特定財源

 ワシャの町では駅前を区画整理するということで10年以上前からすったもんだしている。総事業費は400億円くらいで、その多くは道路特定財源から充当されることになる。だから駅前の小さな住宅街に東西南北6本もの道路、それも幅員18m〜22mの広い道路を造らなければ採択されず、採択されなければ道路特定財源は貰えないのだ。
「道路構造令」という机上の空論がある。北海道も東京も信州の山の中も一律に縛る道路の造り方の指針である。地域の特殊事情を一切勘案しないボケ法令と言っていい。だから地域住民が望んでもいないのに閑静な住宅街の真ん中に広幅員道路が町を分断するように横たわることになる。そうしなければ国庫補助が貰えず区画整理ができないんだから、自治体は嫌でも道路を広く設計せざるをえない。
 そんな中で頑張っているところもある。長野県栄村では国庫補助を貰わずに村道を造り始めた。集落間をつなぐ道路は除雪が出来る幅(3.5m)あればいい。しかし国から補助金を貰おうとすると国の決めたボケ法令に従わざるをえず、数戸しか人の住んでいないところに2車線道路を築造しなければならない。広幅員のため補助金を貰っても、全体事業費が上昇するから村側の持ち出しが増加する。儲かるのは土建屋ばかりなりということになる。村民のことを考えれば補助金なしで必要なものを造る方が安上がりだと村は判断した。お見事!
 愛知県が「道路特定財源 暫定税率の維持にご理解を」というパンフレットを作った。この突っ込みどころ満載のチラシにももちろん税金が使われている。このチラシは叫ぶ。
「愛知の道路は、まだまだ不十分です!!」
 愛知県の山間部の道路改良率は未改良が51.2%もあるという。だから特定財源を確保しなければならないということらしい。
 ワシャはたまたま趣味で三河山間部の古城跡を巡っている。かなり奥まで入りこんでいるが、道路が未整備で不便だと感じたことがない。むしろ作手村では山間に2車線両側歩道の広幅員道路が延々と続いているのにびっくらしたくらいなのじゃ。その道路を走っていたのはワシャとタヌキのポン吉だけであった。
 これが現実である。道路特定財源一般財源化して何にでも使える明朗な財源にすればいい。