大型フェリーで長崎から五島列島に渡ったことがある。その時に感じたことは、「海には沢山の船が浮かんでいるんだな」ということだった。
フェリーは西に舳先を向けて進んでいた。その前を小さな漁船が何隻もかすめていったり、フェリーの進行方向に入っている漁船は航路から外に退避して、フェリーの運行は順調だった。
どうして清徳丸は、五島灘の漁船のように回避行動をとらなかったのだろうか?実際に僚船の金平丸はUターンしてイージス艦を回避しているではないか。
イージス艦はでかい。指示命令系統も複雑だ。動きはアパトサウルスのように緩慢になる。それに比べてマグロ延縄漁船は小型で小回りが効く。船長の意思がそのまま操舵に反映される。どちらが避けるほうが合理的だろうか。
海上交通のルールはある。あるが、図体のでかい動きの鈍いヤツに先を譲るということも必要だ。イージス艦と衝突するリスクを冒してでも、自分の優先を守ろうとしたなら、あたら若い命が失われただけに悔やまれてならない。
「お先にどうぞ」
狭い日本、そんなに急いでどこへ行く。