天気晴朗なれど風強し

 昨日の防災訓練は無事終了した。300人ほどの参加者があって、「高層マンション対応」と銘打った割りには盛況だったと言っていい。スタッフはNPO、地元ボランティア、町内会、社会福祉協議会、行政、消防、国土交通省などの混成部隊で、こんな寄合所帯でどうなることかと思っていたが、なんとかなるものですな。会場設営から撤収まで含めて5時間のイベントで、実質準備期間3ヵ月、上記の組織から代表が集まって実行委員会を編成して企画を練ってきた。一番の懸案はコミュニティの醸成されていないマンション住民をいかに訓練会場まで引っ張り出すかだった。
「当日、会場で景気よく花火を上げて客寄せをする」
「マイク付きの車でアナウンスをしながらマンション街をぐるぐる回る」
 と、ワシャが提案したが、「参加する意思のない住民に迷惑がかかる」として却下された。
 結局は各マンションの理事長に協力してもらって、各戸に開催チラシを配布することで落ちついた。
 当初は関心も薄く、反応も鈍かった。
「人との接触が煩わしいからマンション暮らしをしているのに、なんで今更ご近所付き合いをしなくっちゃぁいけないの?」
 ということなんでしょうね。マンション4棟、300世帯を対象にした説明会に参加したのは一桁の人だった。前途多難の四文字が行く手に立ちはだかっている。
 でもね、やっぱり人はいるんです。無関心に見えたマンション住民の中から、一人の理事長が協力を申し出てくれた。その人に誘われるようにして小さい子どもを持つお母さんたちが立ち上がった。この理事長とマンションママさんが大活躍してくれたお蔭でイベントが成功したと言ってもいい。この人たちの牽引力で行政やボランティアもいい動きをした。
 正午にすべての訓練が終了する。底抜けに寒い会場だったが、スタッフの顔は明るかった。

 マンションママが担当した炊き出しのトン汁は大好評でしたぞ。めでたしめでたし。