駒形どぜう

 木造瓦葺二階建て、土蔵を思わせる造りで外壁は漆喰仕立てで、窓には連子格子がはまっている。小さな庭は板塀で囲まれて外からの目隠しになっていた。二階は窓に簾が下がり昼過ぎの日差しを和らげている。
 二階大広間で年季の入った二重回り縁の天井を眺めたり、籐畳の感触を確かめたりしているうちに、若い中居さんが次々とどぜうを運んでくる。まずは「どぜうなべ」だ。生きたどぜうに酒を飲ませて骨をやわらかくし、そのどぜうを甘味曽仕立ての汁に入れて煮こむ。この丸のどぜうをごく浅い鉄なべに並べて、たっぷりのネギをのせ、七味をかけて食う。これが美味い。そして「柳川」、どなべにささがきごぼうを敷き詰め、ひらいたどぜうを丁寧に並べて、玉子でとじたものを、山椒で食してごらんなさいよ。熱燗が進むこと進むこと。あとから出てきた濃厚な「どぜう汁」もよござんしたねぇ。ついお代りをしちまいました。
 1時間ほど飲んで食った。いい心持ちになったので、お勘定を済ませて外に出れば、店の前に並べられた縁台には、どうだろう、30人ほどの人が順番を待って寛いでいるではあ〜りませんか。予約しておいてよかったわい。めでたしめでたし。

 今日から9回連続の防災研修が始まる。講師はワシャだ。受講者は全社員1000人である。どうなりますことやら。