他人事ではない

http://www.asahi.com/national/update/1215/TKY200712150150.html
 長野県王滝村のスキー場でゴンドラリフトが急停止して乗客90人が最長で12時間も空中の狭い箱の中に閉じ込められた。密閉された小さな箱の中で12時間も身動きが取れないというのは想像以上の苦痛だろう。被災者の皆さんにお見舞い申し上げる。
 かつてワシャも似たような経験を岐阜のスキー場でしている。たまたま乗ったシングルリフトが止まってしまったのだ。最初は前後の友人と「止まった止まった」とはしゃいでいたが、20分、30分と時間が経つにつれて寒くなってくるし、不安がつのってくるんですな。鼻水が凍りだし、それでも「天は我を見放したかー!」とか北大路欣也の真似をして遊んでおりましたら、係員やスキースクールの先生たちが駆け付けて先端に鉤のついた物干し竿やロープを使って救助してくれた。
 原因は今回のコンドラと同じく支柱の滑車の破損だった。それ以外にも何度かリフトが止まってスキーヤーがリフトから下ろされるシーンを見ているので、当時のゲレンデではよくある事故だったと思う。
 問題はリカバリーの態勢だ。せめて2〜3時間程度で救助ができていればこれほど問題になることはなかった。ゴンドラは止まるものだという前提で救助救出訓練をやっていなかったのだろうか。やっていなかったんだろうね。

 さて、ここからが本題だ。この事故、実は他人事ではない。「私はスキーに行かないし、ゴンドラに乗らないから、そんなの関係ねー!」と言っている場合ではないのじゃ。町じゅうにスキー場のゴンドラと同じ密閉された箱(エレベーター)があって、多くの人が毎日利用しているでしょ。
 2005年7月23日午後4時35分に関東地方で強い地震があり、東京都足立区で震度5強を観測した。この地震で2万基ほどのエレベーターが緊急停止して、その中の50基ほどで人が閉じ込められてしまった。全員の救出までに3時間ほどかかったという。
 震度5強でこれである。震度6弱、6強の揺れが神奈川県から高知県で予想される南海プレート地震では、どれだけのエレベーターに人が閉じ込められるか、想像するだに恐ろしい。
 だからワシャは近い階にはエレベーターを使わないことにしている。また会社のエレベーターには緊急対応用のツールセットを設置しようかと思っている今日此の頃なのだ。

 因みにエレベーターというのは、天井に抜け穴なんてありませんからね。あれは映画の嘘です。念のため。