ウソをつくメディア

 11月15日にバングラデシュを襲ったサイクロン「シドル」の被害を報道ステーション古舘伊知郎がこう報じていた。
地球温暖化の海面上昇により大きな被害がでました」
 このいい加減なアナウンサーの言っていることは間違っている。騙されてはいけない。元々、バングラデシュが面しているベンガル湾という海は、世界でも有数の遠浅の海なのだ。海岸から1000m沖でも水深が1m程度の極めて浅い海なのである。ここにサイクロンが侵入してくれば気圧の吸い上げ効果で海面が上昇し、かつ、暴風による吹き寄せ効果で高波が発生すれば被害が出るのは決まっているのだ。地形的な宿命と言っていい。それを古舘は、あたかも地球温暖化が主原因のような言い回しをしているが、これは作為である。サイクロンの発生の遠因に地球温暖化があるのかもしれないが、ベンガル湾の1万を超す人的被害の要因は、一つには遠浅で奥になるほど狭いという地形の問題と、広大な海抜0m地帯に住まざるをえない貧困の問題、そして災害に対して何の手も打たない行政の問題なのである。それを一言「地球温暖化」で片付けようとする古舘の貧困な発言は危険だ。昔、古舘の先輩の久米弘が国全体に阿呆踊りを踊らせてしまった「所沢ダイオキシン騒動」を思い出せよ。
 マスコミに登場する人はもう少し責任のある発言をするために勉強したほうがいい。