日本テレビのウソ その1

 12月14日夜の「世界まる見え!テレビ特捜部」で「生命の営み、ペンギン南極物語」という特集があった。内容は、地球温暖化がペンギンの生態に、どのような影響を及ぼしているかを記録した海外ドキュメンタリーである。
 番組自体は、「地球は温暖化している」というスタンスで製作されているので、随所に「おんやぁ?」と思うところもあったが、それでも、結論が「地球温暖化が、ある種のペンギンには恩恵をもたらすが、別の種には被害をもたらしている」という至極真っ当なものだったので、平静に薩摩白波を酌みながらテレビを眺めていた。
 ところがじゃ。海外ドキュメンタリーが終わった後に、女子アナが、関東地方の地図を示してとんでもないことを言いおった。このために白波の原液を吹き出してしまいましたぞ。
「南極が温暖化して、氷が融けると海水面が57mも上昇し、関東平野は前橋あたりまで水没します」
 おいおいお〜い、何をとぼけたことを言っていやあがる。
 南極の中心部は氷点下49℃である。例えば地球温暖化で平均気温が2℃上昇したとして−47℃、10℃上昇したって−39℃で、どちらにしても氷点下である。氷点下で雨は雪になるでしょ。だから、南極の氷を全部溶かそうと思ったら、平均気温が10℃、20℃の上昇では追いつかないということなのだ。こんなもの科学でもなんでもない。普通に考えれば簡単に理解できる。
 南極の氷は中心部でできて周辺部に押し出され、縁辺で融け割れて海水に混じりあっていく。この割れているところばかりをマスコミが繰り返し繰り返しみせつけるものだから、メディアリテラシーの低い人々が「温暖化は怖ろしい」「前橋に引っ越すべぇ」となるわけである。
(下に続く)