熱うおまんがな

 食べ物の話になったのでもう一つ。
 土曜日に聖地(司馬遼太郎記念館)にゆく。大書架の底で自らの不勉強を自覚し、司馬さんの書斎の前で志を新たにした。
 その帰りに東大阪市河内小坂駅前の菓匠千鳥屋に立ち寄る。この店、創業が寛永七年というから驚く。寛永七年(1630年)と言えば、徳川家康が身まかって14年後、マカオ使節ドン・ゴンザロ・シルベイラが来日した年ですぞ(なんのこっちゃ)。赤福ですら宝永4年(1707年)というから、もっと古い。
 ここのドラ焼きが美味しいのじゃ。香ばしく焼き上げられた生地に挟まれたややきめの粗い漉し餡がたまりません。20個ほど土産に買って帰ったのだ。

 ちょうど昼時だったので、駅周辺を物色する。なかなか気の利いた店がない。なかなかワシャの鼻が利かないのだ。うろうろするうちにお腹がぺこぺこになってきおった。こんなところで野垂れ死にするわけにはいかぬ。「空腹が満たされればどこでもいいわい!」ということで、目についたウドン屋に入ってしまった。
 まぁどうということもない普通のうどん屋だ。壁際のビニール張りのベンチ椅子もところどころ破れていてガムテープで補修してあったり、メニューもなんとなくネチネチしているようなそんな店だった。
 メニューを見ると「牡蠣天麩羅うどん」というのがある。牡蠣フライはよく食べるが牡蠣天麩羅とは珍しい。速攻で注文する。待つこと暫し、普通の素うどんの丼の横に雫型に揚がった中粒の牡蠣天麩羅が五つ並んでいるではあ〜りませんか。そしてそこには粗めの天然塩が添えてある。うどんなんかそっちのけで牡蠣天麩羅に突進しましたがな。
 やっぱり一番大粒そうなのを最初に箸で摘んだ。その臀部に塩をちょいとつけて牡蠣の身の半分ぐらいのところに噛み付いた。そうしたら牡蠣の腹が割れ、ピュッ!と牡蠣の汁が飛び、ワシャのかわいい顎に命中した。これが熱いのなんのって。思わず椅子から飛びあがりましたぞ。
 その後、ビビりながら牡蠣天麩羅を全部平らげました。あー美味しかった。