名古屋から帰るJRでの話

 社内はほどほどに混んでいて、ワシャを含めて3人が立っている。その3人が昇降口脇のサイドハンドレールを1本ずつ占める格好だ。ワシャは進行方向に向かって右側ドア後方の位置で文庫を広げた。
 途中の駅でカップルが乗ってきた。男は背の高い日系とラテンが幾分混ざり合ったブラジル人で、女は小柄な日本人である。この二人がワシャの横のコーナーを占拠した。そこまで確認して、ワシャはモーパッサンに戻る。
《湿気を含んだ灰色の空が、褐色の広漠とした平野に、低くたれさがっていた。》「うふん」《素裸の、じめじめした土だの、落葉だの、枯れた草だの、そういったもののわびしいにおいが、秋のにおいが、夕暮の沈滞した空気をいっそう濃く、いっそう重くした。》「あはん」《百姓たちは、入相の鐘の時刻までは》「いやん」《野良に散らばって仕事を》「だめん」
 なんじゃー!「うふん、あはん、いやん、だめん」って、色っぽい声を出してワシャの読書を邪魔するんじゃなかー!
 車内を見回せば、金山で乗りこんできたブラジル人と日本人のカップルが抱き合っている。いやいやそんな生易しいものではない。ペッティングをしていると言ったほうが正確だ。
「アホか!」
 と、思わず口をついてしまった。
 大男は女の体をまさぐるのに夢中でワシャに対して何の反応も示さなかったが、男のみぞおちあたりにある女の首がワシャをジロリと一瞥した。「何見てんのよ」とその目が言っている。
「馬鹿者!大和撫子が公衆の面前で外国人に体をまさぐられて、変な声を出しているんじゃねぇ、天誅だー!」
 と、蹴りを入れてやろうかと思ったが、ああ、残念、ワシャの降車駅についてしまった。仕方がないのでホームに降りてから、思いきり「アカンベー」をしてやった。あーすっきりした。

 昨日のメルマガで勝谷誠彦さんが、あふれる外国人の問題について言及していた。表題は「やたら目につく外国人。いま日本に200万人もいるって知っていましたか」となっている。割合は1.66%だ。
 残念ながら西三河はそんな比率じゃない。もうレッドゾーンの6%になろうとしているのだ。6%を超えると、今まで小さくなっていた外国人がどんどんとはばをきかせるようになり、温厚で控えめな日本人は、外国人の横暴に忍従しなければならなくなる。それでいいのか?