名古屋伏見界隈

 吉例顔見世の幕が降りて劇場から外に出る。御園座通りに北から流れるおだやかな風は少し冷たい。シートで固まった体をほぐすため両手を突き上げて伸びをすると、ビルの狭間に瑠璃色の空があった。空気の透きとおったこの季節は、無機質なビルも歩道をゆく買い物客も華やいできれいに見える。だから秋は好きだ。
 広小路に出て通り沿いの喫茶店に寄る。仲間とどうでもいい話題で盛り上がって、それでお開きとなった。あ〜楽しかった。