薄ら笑いを浮かべる人

 8月15日に放送されたNHKの「考えてみませんか?憲法9条」でおぞましいものを見てしまった。一般視聴者として参加している「護憲派」の中にそのオバさんはいたのだが、そのオバさん、ずっと笑っているのだ。特に小林よしのりさんなどの「護憲派」が話しはじめると、不気味に薄ら笑う。そのオバさんの薄ら笑いが脳裏から離れないのじゃ。
 オバさんの薄ら笑いは、自分たちの信奉する「自衛隊廃止」「在日米軍撤退」「日本の完全なる無防備化」以外の意見をまったく受け入れようとしない拒絶の笑いであり、自分たちの信ずること以外のすべての意見を排除する危険な笑みなのである。こんなのが未だ生息していたのか、と戦慄を覚えてしまったぞなもし。
 この手のイデオロギーに染め上げられてしまった人種との議論は不毛だ。だって、聴く耳が端っからないんだもの。
 
 ワシャは、学生時代にとあるイデオロギー集団から誘いを受けたことがある。友人から「ちょっとした集まりがあるから来ないか?」と誘われ、一軒の民家に連れていかれた。そこには10人ほどの若者がたむろしており、第一印象は気さくなやつばかりだった。
 最初は駄菓子とジュースでどうでもいい世間話をしていたが、その内にその中のリーダーと思しき男が自分たちの思想信条を熱く語り始めたのだ。話の内容は「自衛隊廃止」「在日米軍撤退」「日本の完全なる無防備化」といったようなヒダリ巻系のものだった。そして入会(入党だったかもね)を強く勧められたのである。
 しかし、ワシャは二十の頃からへそ曲がりの天邪鬼のひねくれ者だったので、別にどうでもよかったんだけど、「入会しろ」と言われると「入会しない」と答えてしまうんですな。それに浪曲好きの爺ちゃんと軍歌好きの父ちゃんの影響も受けていたので、こいつらの歌う変な労働歌に強い違和を感じていたしね。
 ワシャもいろいろ反論したのだが、反論を聴く連中すべてが薄ら笑いしながらワシャを見ていたのだ。その光景に思わず鳥肌が立ったわい。

 司馬遼太郎は「イデオロギーに染まった人間ほど始末に負えないものはない」と嘆いていた。ワシャはそこまでは言わない。ただね、その気味の悪い薄ら笑いは止めろよ。

 午前8時、床屋にゆく。